アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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「被ばく労働自己防衛マニュアル」、国ではなく、市民団体が作成(労働者には無償配布)

 市民団体などで構成される「福島原発事故緊急会議」が、被曝のおそれがある労働者向けに『被ばく労働自己防衛マニュアル』を作成。7月26日、衆院議員会館内の記者会見で発表した。 マニュアルの内容は、被ばく労働に関する基礎知識(放射線の危険性、法的な制限線量など)のほか、「ノルマよりあなたの命が大事。線量計は外さないこと」「雇用契約書の内容確認を」「被ばく症状がでたら、すぐ相談を」と呼びかけ、具体的な相談機関や裁判事例が列挙されている。 このマニュアルを製作した、山谷労働者福祉会館の活動家は制作の意図をこう語る。 「まず、福島第一をはじめ現場で働く人たちの被ばくを少しでも抑えることです。現場で働く人たちは重層的な下請け構造に組み込まれていますが、残念ながら、主要な労働組合は被ばく労働問題に取り組んでいません」。 「福島第一の原発事故は、収束まで数十年かかるといわれています。大勢の労働者が被ばく労働をするなかで、労災認定、損害賠償の必要も当然、出て来る。私たちは今後、原発作業員の労働相談もおこなっていきます」。  制作協力者の藤田祐幸氏(長崎県立大非常勤講師)はコメントした。「広島・長崎の被爆者には手帳が交付され、無償で医療が受けられます。しかし被ばく労働者には何の補償もありません。労働安全衛生法の定義にもとづいて、手帳配布と生涯にわたる補償をおこなうべきでしょう」。「病気として現れるのは、がんや白血病だけではありません。被ばくは人体の免疫機能を低下させるので、持病が急速に悪化して死亡することもあります。しかしそれは労災認定されにくいのです」(写真はこれまでに認定された被ばく労災。詳細は不明ながら5.2mSvという低い被曝線量での白血病も労災認定されたことがある。同マニュアルより)。 本来ならば、作業員の安全と健康を管理する行政官庁がこうしたマニュアルをつくってもいいはずだ。ところが行政は作業員の被ばく問題を軽視しているとしか思えない。  7月23日、海江田万里経済産業相はテレビ番組で「現場の人たちは線量計をつけて入ると(線量が)上がって法律では働けなくなるから、線量計を置いて入った人がたくさんいる」「頑張ってくれた現場の人は尊いし、日本人が誇っていい」と語っている。作業員をあたかも特攻隊のように称賛し、健康や安全を顧みない姿勢なのである。 マニュアルは、被ばくのおそれがある労働者には無償で配布し、そのほかは200円で販売するという。 お問い合わせは市民団体ピープルズプラン研究所(電話03-6424-5748 Eメール [email protected] )まで。…

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