本紙は昨年8月、10月と2度に渡り、アンビシャス上場、旧日産コンツエルン御曹司の鮎川純太氏(冒頭左写真)が代表を勤める「日本産業ホールディングス」(本社・東京都渋谷区)の重大疑惑について報じている。
詳細はその過去記事をご覧いただきたいが、日本産業HDは経営破たんしたあの「日本振興銀行」の株式を10億円分も購入していた。ところが、昨年5月13日にその株式すべてを売却している(約500万円の売却益を得た模様)。
だが、当時、すでに日本振興銀行の木村剛会長(当時。冒頭右写真)に対する当局の包囲網は狭まっており、事実、木村被告は5月15日に会長辞任。同月27日に金融庁が振興銀の一部業務停止命令。そして7月14日に木村被告逮捕となっている。
つまり、有り体にいえば、事件化する直前、そのことを知っていたかのようなギリギリのタイミングで売り抜けているのだ。
なぜ、本紙がそう見るかというと、そもそも、鮎川氏が日本産業HDの会長になれたのは、日本振興銀行系列会社の「中小企業保証機構」などから融資を受けれたお陰で、当時、鮎川氏と木村被告は蜜月関係にあった。だから、捜査が迫っていたことを察知しての売却の可能性は十分にあり得るのだ。
もし、売却出来ていなければ、振興銀株は紙くず同然となり、日本産業HDは債務超過に陥り、上場廃止になる可能性もあった。
売った先は、鮎川氏の別会社「日産アセット」。つまり、“飛ばし”をやったのではないかとの重大疑惑なのだ。
そうしたなか、昨年7月14日の木村被告逮捕からほどない8月2日、当時、日本産業HDの監査を担当していた「フロンティア監査法人」が監査を下りた。日本産業HDはその理由として、子会社の不適切な会計処理を原因としたが、本紙は“飛ばし”疑惑も含まれているとのではないかと報じた。
結論をいえば、その指摘は正しかったのだ。
ところが、日本産業HDはこの8月10日、8月5日を持って社内調査は完了したとIR。その調査報告結果のどこを見てもただの一言も“飛ばし”のことは触れていない。これはいったい、どういうことなのか。