わが国の地震学のなかには、予知研究分野がある。
東海地震の前兆があったら判定会議を開き、必要に応じて国民に退避命令を出すのもその1つ。また、30年内にどの方面でどの程度の規模の地震がどれぐらいの確率で起きるか地質調査に基づいて推測し、全国ハザードマップも作成している。
先の東日本大震災の震源については、30年内の確率は9割以上としていたが、その地震規模はM7・5前後と見ていたところ、実際は150倍も大きいM9・1だったから、その予知は完全に外れたわけだ。
この事実を持って、政府や東電は「想定外」といっている。
ところが、この予知研究の中心的役割を果たしている財団法人について調べてみると、評議員には東電以下電力会社の関連部署トップがズラリ。また、多額の資金援助を行っていることが窺える。
この事実を思うと、本紙でも以前指摘したように、御用学者(東大が中心)は原発付近の活断層をわざわざ区切り、大きな地震が想定できないようにしているが、このようなマネをするのは東電側から中心研究機関がストレートに利益を得ている結果と推測できる。
本紙では大手マスコミと東電を始めとする電力会社との癒着の温床になってる特殊法人などについて指摘したこともあるが、電力会社の触手は研究現場にまで伸びていたのかとさすがに驚かされる。
(冒頭写真=東大教授ながら、わが国の予知研究を一刀両断したゲラー氏のこの著書はお薦め。なお、同書で、この記事の財団法人のことは触れていません)