ジャスダック上場の投資情報提供会社「T&Cホールディングス」(東京都港区)が9月20日から大暴落を始め、一部投資家の間で話題になっている。
それまで同社株価は6万円ほどだったが、以降、ほぼひたすら下落し続け、2万円以下と約半月で3分の1以下という有様だ(冒頭写真はT&Cの株価チャート図)。
その引き金になったのが、T&Cが9月28日にIRした、大株主「香港東盛禾投資集團有限公司」が借金の片に所有株(14・4%=3000株)を取られ、即、大半(11%)を売却されてしまったことがあるのは間違いないだろう。
香港東盛は昨年8月に第3者割当を引き受けた(3500株)際、2年間は保有するとしていた。ところが、大量保有報告書を見てみると今年8月26日に3000株を担保に個人から9900万円を借り入れ。代物弁済でその個人は9月21に取得するや、22日、26日、27日と売却した。
T&Cの株価はすでに22日始値が3万6000円だったことを思えば、その個人が売り急ぎ、下落を加速したと思われる。
もっとも、20日から下がりだした直接の引き金は不明。ただし、前出・香港東盛が資金難から当初取得の3500株と代物弁済分3000株の差額500株を投げ売りしたとの見方がある。
いずれにしろ、一般投資家にすれば、安定大株主のはずが借金の担保に入れ、その事実が開示されない(ただし、担保に入れたこと=「変更報告書」は27日提出)。しかも、売却された事実もその後の9月28日に開示されたのだから、ふざけるなと怒って当然。それどころか、これは明らかに開示義務違反で、当局は課徴金を課すか、管理銘柄に指定すべきだろう。
というわけで、実際、投資家の間ではT&Cに対してもそうだが、香港東盛の王社長に対しても批判の声が起きている。
だが、香港東盛の住所が香港にあるから、また、社長の名が王だから実態のある香港の会社と思うのは甘い。