7月11日、大揺れの東証2部、ゴム関連老舗メーカー「昭和ゴム」(本社・千葉県柏市)は、昨年4月、「プロファイルキャリア」に対して発行した新株予約権の未行使分をすべて買取、消却すると発表した。
この新株予約権、すべて行使されれば35億5000万円分にもなったが、実際に行使されたのは約5億円分に過ぎなかった。その後、自動車販売事業の疑惑が持ち上がり、株価が142円を下回ったからだ。
それはともかく、そもそも6月12日時点で、昭和ゴムは消却する予定であると表明していた。だが、その後、新たに第3者割当増資に応じたAPF傘下企業との間で、この未行使分をAPF側に譲渡する“裏契約”を結んでいたことが発覚。APF側にすれば、この分を行使することで一挙に昭和ゴム株の過半数を握り、経営権を完全に掌握したかったのだろうが、本紙がいち早く報じたように、この裏契約が入った両者間の「基本合意契約書」(冒頭写真)の存在が明らかとなり、さすがにAPF側主導の昭和ゴム役員も強行できなくなったのだろう。
もっとも、この消却のお知らせを見ると、消却の理由として、新株予約権行使により生じた350万株(約5億円分)を新株予約権者(プロファイル)が所有していないことが判明し、それは譲渡禁止の特約に違反する点を上げている(横写真)。
なぜ、株券を所有していないのか。
それが空増資の疑惑をまさに呼んでいるわけだ。