アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

内部・外部告発、情報求む!

(弁護士などのプロが調査。ただし、公益性あるケースに限る)

特別寄稿「騙されるな! 債務整理ビジネスの悪質な手口」(連載第1回)

ジャーナリスト・北健一                        1965年生/専門は金融や司法/最近の記事「旧商工ファンド がトラブル頻発」(『週刊朝日』06年12月29日号)/同書籍『アメリカの日本改造計画』(イースト・プレス。共著) NHKや民放でも紹介されてきた債務者救済団体「ひまわり道場」をめぐって、深刻な内紛が続いている。背景を探ると、債務相談を使って利権を得る巧みなカラクリが浮かび上がった。 ひまわり道場とは、商工業者の団体・豊島民主商工会(豊島民商、長谷川清会長)が1999年に設置した債務者救済窓口で、櫻井俊一氏が総責任者をしていた。櫻井氏とひまわり道場は、NHKや民放の報道番組で「ヤミ金被害者の駆け込み寺」として紹介され、相談者は全国から集まった。 ひまわり道場で助かったという債務者も少なくない。だが、ひまわり道場には、毎週金曜日の夜に相談員と債務者が平場で話し合い、借金苦からの脱出法を探すという「表の顔」の他に、「裏の顔」があった。それが「特A」なるものだ。 特Aとは、2003年、ひまわり道場の泊まりこみ研修会で長谷川会長が命名したスキームを指す。 「豊島民商の総括と見解」と題する同民商の内部文書には、特Aについて、「不動産売買を伴う相談案件」「金銭授受が伴い、解決困難な案件」と意味深な記載がある。 金銭授受が伴う困難な案件とは何か。 それは、債務額が担保価値を上回っているのに、担保売却によって、多額の「引っ越し代」を捻出する作業を意味していた。 豊島民商元副会長の宮田和子さんは、「RCCから競売通知が来た際、(同民商幹部から)『裏技を使うBさんに頼めば500万円残せる』と聞きました」と話す。 では、どんな手法を使ったら、担保割れした不動産の売買で多額の「引っ越し代」を債務者が手にすることができるのか。 筆者は、東武東上線「北池袋駅」にほど近い住宅地約50坪の売買に関する契約書、明細書等を入手した。ひまわり道場に相談に来たCさんが建売業者・D住宅に売却したもので、仲介したのがB不動産だ。  売買日は04年7月27日。同日付契約書には、「売買額4230万円」とある(横写真)。 が、なぜか契約書はもう1通ある。D住宅が、購入資金を借りるために金融機関に出した契約書で、その売買額は「4550万円」となっているのだ(横写真)。 D住宅のD社長は、「決済時に総額で4550万円、売買代金として払いました」としたうえで、4230万円の契約書について「対債権者用として交わした」と証言する。4550万円という真実の売買価格は、土地に担保を設定していた金融機関には説明していなかった。 しかも北池袋の土地は、実勢を大幅に下回る価格で買い叩かれていた。  実勢価格は簡易査定書によれば6800万円(横の右写真)、D住宅に融資した金融機関が設定した根抵当権の極度額でも5200万円(同左写真)であり、それを4550万円で買ったのだから、D住宅は大儲けしたはずだ(同社は北池袋の土地を2筆に分け、新築住宅を2軒建てて販売している)。 「B不動産はもともとリフォームなどを手がける工事業者であり、特Aで売った土地に建てる住宅の工事などを受注し、特Aの儲けの一部を代金として得ていた」と、同社元従業員は明かす。 つまり、中抜きと買い叩きによって生じた「特A利権」が、手数料と工事請負代金としてB不動産を潤していたのだ。 「特Aをやるようになってから社長は金回りがよくなり、会社の近くのフィリピンパブに行くようになりました」(前出・元従業員) 不動産取引に詳しい弁護士が言う。 「売却価格を低く偽って債権者を誤信させ、抵当権を抹消させるのは『中抜き詐欺』といって犯罪になります。逮捕された事例も少なくありません」(横写真) 詐欺になりかねない「裏技」がリスキーと考えたからこそ、豊島民商幹部らは「組織が関与しない形」にしたのかもしれないが、「特A」案件でB不動産に客(相談者)を紹介するのは豊島民商であり、ひまわり道場だ。繰り返し顧客紹介をしておいて、「関与しない」というのも何とも苦しい。 しかも、ひまわり道場をめぐる疑惑はこれだけではなかった。(つづく)…

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