ジャスダック上場、情報通信関連の「トランスデジタル」(本社・東京都千代田区)が新株予約権を発行、その大半が行使されて8月27日までに28億3000万円の資金調達ができたにも拘わらず、翌28日、29日と不渡りを出して銀行取引停止に。そして、9月末を持って上場廃止が決定したのはご存じの通り。
過去の“危ない上場企業”同様、トランスもその資金調達には闇勢力にも繋がる怪しげなブローカーが水面下で暗躍していたが、いくら何でも資金調達直後の実質、倒産というのは前代未聞のことといっていいだろう。(冒頭写真記事=「日経」9月6日。この記事と同日、トランスは新株予約権の一部は不行使だったと訂正。したがって、調達できた資金は同記事中の31億3000万円から3億円減っている)
そのため、この“破綻劇”の引き金を引いた者、その思惑に関し、いろんな噂が出ると共に、警視庁も事件性はないか重大な関心を寄せ、すでに関係者から任意で事情を聞いている。
その噂のなかには、2回目の不渡りを意図的に出した者として、「永本壹桂」氏の名前が上がっていた。本紙でも「田崎真珠」や「サハダイヤモンド」株絡みなどでも報じている御仁だが、それにも拘わらず、数日前、永本氏の関係者から本紙に接触があった。それは事実無根だというのだ。そして、その証拠としてトランスデジタルの小切手(以下にそのコピーを転載)を持って来た。
結論を先にいえば、少なくともこの点に関しては、その言い分には説得力があるように思える。それに、そもそもトランスを銀行取引停止にしてしまっては上場企業の“錬金術”が使えなくなる。
以下、この不可解な破綻劇の裏側に迫ってみた。