米国発のサブプライムローン問題が、世界に悪影響を与えている。自由競争の行き着く先は、債権を証券化し、貸し手責任さえ無くし、貧困層からただ収奪するだけのマネーゲームだった――。 弾けたのは住宅ローンだが、米国ではサラ金(ペイディローン)も自由競争(=適正金利に落ち着く)の下、実質、金利規制はなく、平均年利470%だという。 これに対し、わが国ではサラ金(SFCGなどの商工ローンも同)の規制が強化され、来年末を目処に完全に最高年利が20%以下になる。自由競争は万能でないとして、サラ金規制をしているのは英国など一部を除いたヨーロッパ諸国も同様だ。 だが、未だわが国は米国に追随しており、サラ金規制は被害者(零細業者)が中心になった長年の運動が実を結んだ例外中の例外といっていい。多くの政治家、役人、御用学者、そして何よりサラ金業界は、自由競争を錦の御旗に、再び金利を上げる機会を狙っている。 実際、今回のサラ金規制の審議中にも、米国からは相当の圧力があったという。 著者の北健一は、武富士盗聴事件の際にも支援してくれた稀有な“反権力”ライター。徹底して弱者側に立ち、現場にこだわり、「金利を下げると闇金が流行る」、「借りた人が悪い」などという言い分がいかに詭弁に過ぎないか、論理的に解説してくれている。 本書を読めば、このような御用学者や業界の“学説”の嘘はもちろん、サラ金の(規制の)歴史、世界のサラ金事情、米国の圧力、残された課題と、サラ金に関するこの間のほぼすべてが素人でもよく理解できる。 そして、サラ金はどう理屈をつけても結局、“日陰の商売”だと実感できる。彼らの反撃を許してはならない。 (1700円+税)…