アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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日大アメフト悪質タックル問題――日大・田中理事長が、内田前監督(常務理事)を切れない理由

 まずは、冒頭に掲げた「日本大学事業部」(東京都世田谷区)という会社の謄本役員欄をご覧いただきたい。 このなかに、本日夜、関学連が記者会見を開いて問題の悪質タックルを指示したと認定し「除名」処分した内田正人・日大アメフト部前監督(日大常務理事)がいる。大塚吉兵衛学長もいる。河野英一・生物資源科学部元学部長以外の日大事業部の取締役は全員、日本大学の元・現理事なのだ。現代表取締役の出村克宣氏も理事で、工学部長で同学部教授を務める。監査役は日大の財務部長だ。 社名から一見、学校法人「日本大学」の関係部署のように思われるかも知れないが株式会社。 ただし、この日本大学事業部は日本大学の100%子会社。 10年1月、日大・田中英寿理事長の肝いりで設立されたとされる。  日大施設の管理(清掃・保守・点検・警備など)を中心に、学生・教職員向けの各種サービス(保険代理店業務、自働販売機の飲料販売、成人式・卒業式の衣裳レンタルなど)を行っている。(横写真=赤堤の「日本大学事業部」入居ビル。同ビルは日大所有) 急速に売上げを伸ばしており、12年(12月期)の約5億円、13年約8億円、14年13億円、15年約17億円、16年約44億円、17年約70億円といった具合だ。 なぜ、内田前監督がこの日大事業部の取締役に就いていることが、日大理事長として同社を牛耳る田中氏が切れないことに通じるかというと、同社は田中理事長の“利権会社”と見られているから。つまり、内田氏を始めとする取締役はいわば共犯関係にあり、田中理事長の恥部を知っている可能性があるからだ。  警視庁や国税庁はこれまで何度も田中理事長体制(02年常務理事。08年から理事長)の闇に手を付けようとし、例えば12年2月に警視庁は管財部に立ち入り資料提出(任意)を求めているが、その際、日大事業部の資料も入手している模様だ。 そもそも、それまで総務部がやっていた事業を、なぜ、田中理事長体制下でわざわざ同社を設立し、こちらに事業を移す必要があったのか。 13年2月、「読売」は田中理事長が、日大の工事を受注している建設会社から約6年間に渡り計500万円超を受け取っていた疑義を報じている(上写真=「読売」13年2月1日記事)。 本紙でもその建設会社をS社として報じているが、これは「サンエスコーポレート」(東京都新宿区)という。 同社は1986年ごろから日大から工事を受注するようになり、ほどなく日大がメーンに。そのお陰で、11年4月期は約16億円の売上げを上げるまでになっていた。ところが、16年4月には解散している。前出「読売」報道を機に、さすがに工事を受注できなくなった結果と思われる。 一方、田中理事長の利権といえば、「大生葬祭センター」との関係も以前から指摘されていた。 しかしながら、こちらに関しても、現在も会社は存続しているものの、12年5月、同社は東京都千代田区九段南から荒川区西日暮里に移転。また、日大OBで田中理事長に食い込んでいたとされる山下欽一社長はすでに代表にも取締役にも就いておらず、やはり同社との関係は切れている模様だ。 こうしたたなか、田中理事長はこれら企業に代わる新たな“利権会社”として、日大100%子会社を設立したのではないか。  これなら、取り巻き取締役が裏切りでもしない限り、日大の業務として堂々と仕事を発注し売上げを伸ばしても、それだけでとやかく言われることはないからだ。 こういう疑惑の目で見れば、この日本大学事業部の初代社長で、現在も内田前監督らと取締役の地位にある大塚学長が5月25日、謝罪会見したものの、内田前監督の「指示してない」との会見を追認したのは無理ないことがよくわかるのではないだろうか(上写真=「毎日」5月26日記事)。…

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