アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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「昭和HD」取締役に対する責任追及訴訟で飛び出した驚愕の事実(連載1)

●架空増資資金の借入先はあの河野博晶

 本紙が徹底して追及しているように、現在はタイ投資ファンド「アジア・パートナーシップ・ファンド(APF)」(本社=タイ・バンコク。此下益司会長)傘下で、同APFに資産を収奪されている疑惑のある東証2部のゴム老舗企業「昭和ホールディングス」(千葉県柏市)ーーもっとも、その元凶を辿ると、06年3月から9月までに第3者割当増資と新株予約権行使により総額約62億円の資金調達を「ジャパンベンチャー」の渡辺俊輔氏に頼ったことによる。というのは、渡辺氏はこれだけの資金調達をしてやった見返りを要求したからだ。
その流れのなかで、昭和HDは輸入自動車販売と光ファイバー事業に手を出し、これだけでも総額20億円以上の損害を被っている。
そのため、当時の監査役・山田剛夫氏が善管注意義務違反と忠実義務違反で、当時の山口紀夫社長、重田衛常務(現社長=冒頭写真)ら6名の役員を被告とする損害賠償請求訴訟を提起。今年5月、その一審判決があり、被告6名に対し総額11億7000万円余りの支払い命令が出ている。
「大まかにいえば、判決で支払いが認められたのは約半分。自動車販売については認められたが、光ファイバー事業は責任なしとされた。もっとも、実際はどちらも責任ありなんだから、被告らはこれを受け入れればよかった。ところが控訴した(この事実は昭和HDはIRしていない。事件番号は東京高裁民事第2部平成23年ネ第4283号損害賠償請求控訴事件。なお、山田氏は2件の事件として提訴したが途中で一本化されている)ばかりに、藪蛇になった。裁判所命令で関係先の銀行口座状況が開示されるなどし、渡辺は自動車だけでなく光ファイバー事業にも深く関与し、この2つの事業は実質、渡辺側に資金調達のお礼に被告らが利益をバックさせるためのものだったこと。さらに、07年4月に『プロファイルキャリア』なる会社が新株予約権を引き受け、その後の6月に一部行使(350万株)し約5億円を昭和HDは新たに調達するが、これは渡辺と、山本幸雄なる人物と被告らが組んだまったくの架空増資で、その目的は株主総会で被告らを取締役として再任してもらうためというのが真相だったんです」(事情通)
俄には信じがたいが、こうした昭和HDの当時の経営陣の非行ぶりを、本連載では、できるだけ証拠を示しながら順次、見て行く。
初回の今回は、プロファイルキャリアが引き受けた新株予約権について。
つい最近、井上工業の架空増資(偽計取引)事件が弾けたが、これと比べても、昭和HDのそれはもっと悪質と思える。何しろ、その引き受け資金はそっくりワシントン・グループの河野博晶オーナー(上写真)から借り入れたものだったのだ。

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