漫画『美味しんぼ』で、福島第一原発を訪ねた後、鼻血を出す描写が議論を呼んでいるが、5月12日発売の最新号では、双葉町の前町長が登場し、鼻血の原因は「被曝したからです」と語る場面が登場。さらに岐阜環境医学研究所所長も登場し、ガレキ処理焼却炉近くに住む住民約1000人を調査したところ、鼻血も含め、不快症状を訴える人が8割もいたと発言している。
このことを報じた「毎日」(12日記事=冒頭写真)は、鼻血と放射能の関係は「考えられない」との専門家のコメントも併記しているが、これは一方的との批判を避けるためバランスを取ったかたちにしたに過ぎず、批判を受けても怯まない『美味しんぼ』を紹介することが主眼と思われる。
そもそも、放射能の健康への影響に関してはほとんどわかっておらず、子どもの甲状腺がんぐらいしか正式には認められていない。したがって、「放射能による疫学的な因果関係を証明せよ」といわれたらまず敗訴してしまう。だから、世の大半の御用学者が、「考えられない」というのは実に容易い。
しかし、本当に住民の健康を考えればそう言い切っていいのか?
実は原発事故の健康への影響については、すでに健康に悪影響を及ぼすことが判明している化学物質もバラ撒いた「公害」という視点から検証すれば、御用学者も「考えられない」とはいえないとの意見もある。