アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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<書評>『検察に死の花束を捧ぐ』(柴野多伊三。三五館)

 東京地検特捜部に逮捕されたものの、一審判決予定日だった昨年9月5日、首吊り自殺した柴野多伊三元代議士(享年60歳)が、まさに“命を賭して言い遺した”ものだ。
柴野氏はマスコミ宛てに遺書も残しており、本紙はその全文を公開すると共に、その遺書をもらった相手の「近く単行本が出る」との情報も伝えていた。その通りになったわけだ。
この本を読んだ率直な感想だが、本紙は先の遺書を紹介した際、「他人のケースを挙げて検察批判を展開し、ほとんど肉声になっていない」旨のマイナスの感想を載せたが、柴野氏に謝らなければならない。
この本で柴野氏は、担当検事とのやりとりの詳細を載せている。しかし、だからといって、この本からは「恨み辛みを書きまくっている」という嫌な気分はまったくしない。なぜなら、半分以上のスペースは、わが国の検察の歴史、問題点、海外の検察制度などを紹介し、今後の検察改革について提言しているからだ。そう、単なる私怨の本ではなく、自らの体験も踏まえ真摯に論じている。つまり、柴野氏は死の間際でさえ検察改革(刑務所の改革も)を訴えていたのに、そのことを「肉声がない(私怨の吐露がない)」と本紙は誤解していたのではないかと思い至ったからだ。

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