昨年末、前田武志国土交通相は「八ツ場ダム事業の継続」を表明した。民主党がそのマニュフェストで「ムダな公共事業」の筆頭にあげ、「コンクリートから人へ」なるスローガンの象徴でもあったのが八ツ場ダム建設中止であっただけに、「政権交代の意義がなくなった」「もはや民主党には政権担当能力がない」と怒りや不信を広く巻き起こしているのもうなずける。
こうしたなか、八ツ場ダム反対派の市民団体が、八ツ場に限らず全国のダム建設、大型公共事業の反対派を結集させ、昨1月17日、国会周辺でデモを繰り広げた。さらに午後4時から、衆議院第一議員会館で「八ツ場ダム建設再開は許さない 不要不急の公共事業が続々復活!?」と題した集会を開催した。
主催したのは、八ツ場ダムをストップさせる市民連絡会、八ツ場あしたの会、ダム検証のあり方を問う科学者の会など9団体。会場には約300名がつめかけた。
まずはじめに、法政大学教授で菅内閣の内閣官房参与だった五十嵐敬喜氏が「民主党は生き延びられるか 増税と公共事業」と銘打って基調講演をおこなった。五十嵐氏は、「民主党は準備不足のまま政権を担ってしまった」「自民党と比べて落としどころもなく、前後左右から意見が噴出してまとまりがない」と内側から見た政権批判を展開。「これから日本は人口減少社会になる。田中角栄時代からの成長路線に固執し、公共事業に無制限にお金を使うのは終わりにしなければ」と締めくくった。