約5年前に設立された「日本振興銀行」(木村剛会長。小泉内閣時代、構造改革を進めた竹中平蔵金融担当大臣の有力ブレーンから転身)が、会員制月刊総合情報誌『FACTA』5月号の記事で名誉を毀損されたとして訴訟提起したことを自社HPで5月11日に明らかにしている。
記事タイトルは「『木村剛銀行』が堕ちたケモノ道」(2P)。何とも刺激的だ(冒頭左写真=その記事)。
サブタイトルは「中小企業を救うどころか、SFCGと一体化していた。ペイオフを人質に、二重譲渡にも平然」とあるように、要は、今回のSFCGの債権買い取り、その他にもイッコー、三和ファイナンス、ロプロ(旧・日栄)などのノンバンクと提携しており、公的役割が大きい銀行とはとても思えない金儲け主義に突っ走っていることを批判している内容だ。
大手マスコミがリスクを恐れ、また政府筋に気を使ってか、SFCGの延命に同行が手を貸した事実にさえ触れないなか、その姿勢はりっぱとさえいえる。
2月28日に報じられたテレビ番組「報道特集」(TBS系)のSFCG特集(冒頭右写真。民事再生を申請した当日=2月23日の記者会見時の大島健伸SFCG会長ら。同番組の映像より)では、SFCGの貸出債権の8?9割は日本振興銀行に債権譲渡され、しかもその時期は破綻直前の昨年12月以降に一挙に加速したとの現役社員の声を紹介している。また、この債権譲渡では「トラブルのあるものはSFCGが買い戻す」との日本振興に極めて有利な特約条項が付いていた模様とも報じている。
もっとも、「SFCGと一体化」「SFCGと出来レース」との指摘には、さすがに日本振興銀行も体面上、看過できず、訴訟提起となったようだ。
今後、訴訟のなかでその“一体ぶり”がどれだけ出て来るか、大いに注目される。
一方、SFCGの現状だが、確実に包囲網は狭まっている。