アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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楽天のTBS株買い占め問題で、なぜが批判の声が出ないみずほコーポ・斎藤宏頭取

●TBS株買収資金を提供していたみずほコーポ  楽天と邦銀との関係といえば、一番密接なのはメーンバンクである三井住友銀行であり、西川善文前頭取と三木谷浩史社長との個人的な緊密さもよく知られている。今回のTBSとの“和解”でも、西川氏は2人だけで会ってソフトランディングを促していた。そして、2人の緊密さからとしか思えない楽天と旧住銀人脈とのきな臭い関係にについては一部批判の声も出ており、本紙でも報じている。 ところが同じ、否、それ以上に緊密な、みずほファイナンシャルグループ内にあって「投資銀行」の役割を担う、みずほコーポレート銀行(2002年4月1日 設立)・斎藤宏頭取との関係については批判の声がまったく出ていないのは不思議だ。 それどころか、今回のTBSとの“和解”の立役者として、一般には「ホワイトナイト」的好印象を与え、みずほブランド株も上がっているようだ。 だが、そもそも楽天のTBS株買い占めには三井住友銀行だけでなく、みずほコーポの融資資金も投入されていたのだ。 「いわば、楽天を煽ってTBS株買い占めをさせた重要な人物ですよ。ところが、株買い占めに世間がブーイングを出すと一転、追加融資を止め、逆に、“TBSとは和解した方がいい”と説得したわけで、節操がなさ過ぎますよ」 事情を良く知る人物は、こう憤る。 楽天がメーンバンクの三井住友、準メーンのみずほコーポと住友信託の3行等と1000億円規模の融資枠契約(コミットメントライン)を結んでいたのは周知の事実。そして、楽天はTBS株を15%超から19%超まで買い増しする際、この3行に新たに数百億円規模の融資を要請したが、世間の空気を察した3行は一転、難色を示した。 先の1000億円規模の融資枠契約の資金がある程度、TBS株買収資金に投じられたことは推測できる。だが、その割合に関しては不明だった。 ところが、10月15日付けで、時事通信社が興味深い記事を報じている。 『楽天背後にメガバンク=TBS株購入資金を提供』なるタイトルで、実質、融資枠契約の大半が15%超のTBS株購入資金(約880億円)に使われたとしている。しかも、その融資枠規模に関して、「総額はTBS株の30%以上を取得できる規模」との関係筋の証言を載せている。事実とすれば、1000億円規模どころか、2000億円に近い規模だったと推測できる(金利は年1%程度)。 ●旧興銀繋がりで、楽天の国内信販買収等数々これまでも仲介 斎藤頭取は旧日本興業銀行出身で、やはり同行出身の三木谷社長にとって上司だった人物。 楽天は今年3月、国内信販(現・楽天KC)を買収したが、国内信販のメーンバンクはみずほコーポで同行が仲介。しかも、買収発表の会見に斎藤頭取自らが同席するという異例の行動を取り、両者の蜜月ぶりを感じさせた。その際、斎藤頭取は「10年前、三木谷君が興銀を辞める際、引き留めたことを覚えている。“末に会わんとぞ思う”が現実になった」とコメントまでしている。 また、ライブドアとニッポン放送のバトルの際、三木谷社長がフジテレビにホワイトナイト役として資本提携を申し入れたことがあったが、この際も斎藤頭取が水面下で仲介したとされる。 さらに、斎藤頭取はプロ野球「東北楽天ゴールデンイーグルス」の経営諮問委員だが、他の委員からは、「斎藤さんから強く就任を要請されたので受諾した」との声も。 もちろん、これまでの関係から三井住友銀行も楽天とTBSの“和解”に動いたものの、西川氏は“前”頭取であり、結局、両社のメーンバンクであることから中立的立場を取らざるを得ず、その間隙をぬって斎藤頭取・みずほコーポが強引に“和解”をまとめたと見ていいだろう。 その実績を元に、斎藤頭取・みずほコーポが狙うのは、TBSに対しては所有不動産の有効活用のためのファイナンス役、楽天に対しては子会社上場の際のみずほ証券での主幹事引き受け等での手数料稼ぎであることはいうまでもないだろう。(写真・旧国内信販買収会見での斎藤頭取=3人の右側。左端は三木谷、中央は国内信販社長)…

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