アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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<書籍紹介>『プリオン説はほんとうか?』(福岡伸一。講談社)

●米国産牛肉、2年ぶりに輸入再開へ  12月12日、農林水産省と厚生労働省は、米国とカナダ産牛肉の輸入禁止を解除した。 年内にも第1号の肉がわが国に入って来るが、この決定に大きな役割を果たしたのが政府の食品安全委員会だった。 本来、同委員会は輸入再開した場合、BSEに感染した米国産牛肉がどれだけ入って来るかのリスクについて詳細に検討すべきだった。ところが、そういう検討は科学外の行政の問題との理屈で完全放棄。BSEの感染危険部位の完全除去が守られればリスクは小さいと、完全除去を“前提”とした結論を出し、米国とそれに追従するわが国政府を後押しした。 ●危険部位を完全除去しても感染の可能性が こうして、危険部位を完全除去できる保証などどこにもないのに、輸入再開されることになった米国産牛肉。 ところが、青山学院大学理工学部の福岡伸一教授(化学・生命科学科)は、そもそも危険部位を完全除去すれば感染はしないという前提になっているプリオン説自体が未だに不完全な仮説だと、一般向けに解説した著書をこの度緊急出版した(講談社ブルーバックス。11月20日発行。900円。税別) つまり、この問題提起が不幸にも当たってしまえば、仮に危険部位を完全除去していても、BSE感染患者が出る可能性があるということだ。 危険部位の完全除去ははなから無理なことに加え、このリスクも重なれば、犠牲者が出るのはもはや時間の問題かも知れない。 それでも、輸入再開推進派は出現する患者はほんのわずかに過ぎないだろうという。 確かに、年間4万人近い自殺者や約3万人の交通事故死者数に比べればケタが2ケタ、3ケタは少ないかも知れない。 だが、問われているのは数ではない。 科学的検証を止め、米国の意向を受けて輸入再開したことは、「食」という国民の命に直結する重大な問題を論じることを放棄したことを意味する。となれば、今後、例えば遺伝子組み替え食品なども、米国の有力輸出先として“人体実験”よろしく、黙って受け入れて行くことに繋がりかねないーー取材で会った際、福島教授はそういう懸念の言葉を漏らした。これは、ある意味、輸入再開によるリスクより、はるかに重大な汚点だろう。…

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