●“発症”でなく、“感染”して48時間以内に飲まないと効果がない!?
最近、新聞や週刊誌上を新型インフルエンザ対策として、タミフルの国家備蓄を急げといった旨の記事が賑わしている。
こうしたなか、出て来たのが、タミフル服用後、異常行動で死んだという記事。現状、副作用かどうかは不明だが、米食品医薬品局(FDA)のデータでは、服用後の死者は世界で71名に上るという。
タミフル礼賛に水を指す事実だが、しかし、新型インフルエンザが流行した場合、最悪、世界で1億5000万人が死ぬ可能性があるという世界保健機関(WHO)の見解の前には、本当に効果が期待できるなら無視していい数字かも知れない。
だが、大手マスコミがほとんど報じない、もっと根本的な疑問がある。
既報の記事を見ると、タミフルの効果が期待できるのは“発症”48時間以内に飲んでと記されている。
しかし、なかには“感染”して48時間との記述もあった。
そこで、本紙・山岡はあるウイルスの専門家に尋ねてみた。すると、“感染”して48時間以内、それも早ければ早いに越したことはないという。米国で12年間先端のDNA研究等をやり、イリノイ工科大学助教授(化学科)を務めた。ウイルスと感染の解説書も出している。
考えてみれば、この薬はウイルスそのものを殺すのではなく、増殖を防ぐものだから当然。症状が出るほど、すでにウイルスが増殖してしまってからではもはや手遅れの可能性が高いわけで、素人でもわかる理屈だ。
だが、そうなると大いなる疑問が湧く。
権威あるわが国の研究機関「国立感染症研究所」のHPを閲覧すると、少なくともいまもっとも懸念されている致死率のひじょうに高いH5N1型の新型インフルエンザに関しては、これから出現が予想されるものだから未知数ながら、その潜伏期間は3ー4日とみているようだ(インフルエンザの潜伏期間:通常のヒトのインフルエンザの場合は1ー3日間程度であり、鶏での高病原性鳥インフルエンザの感染は3?7日間と考えられる。ヴェトナムの例での鳥の接触から推定するとヒトでの高病原性鳥インフルエンザ感染の潜伏期間は3ー4日程度という報告もある)。
発症しないと、基本的に患者はタミフルを求めない。
となれば、潜伏期間が3?4日ではほとんどの者は飲んでも手遅れではないか。
こういうと、その研究者は「そうだ」と答える。
では、備蓄しても無駄ではないか(2500万人分備蓄するとしており、その費用は数百億円になる)。
また、その研究者は「そうだ」と答える。