タイトルのような見方が出ている。
この見方で中心になるのは、「日産自動車」(7201。東証1部。横浜市)ではなく、日産が33・9%の株を握り、日産の事実上傘下にある「三菱自動車」(7211。東証1部。東京都港区)。
ご承知のように、日産の親会社である仏ルノーと日産、三菱自動車合わせた17年度の販売台数は約1061万台で、世界一の独フォルクスワーゲン(1074万台)には及ばなかったものの、トヨタ自動車(1038万台)を抜き2位になった。
今年1月、アライアンスの会長兼CEOだったカルロス・ゴーン容疑者が「ルノー・日産自動車・三菱自動車は世界一の自動車グループとなりました」と得意気にコメントしたのは記憶に新しい。
そもそも三菱自動車は、“三菱”と冠した社名からおわかりのように三菱グループ企業だ。ところが燃料不正問題の発覚で経営が悪化、「三菱重工業」を始めとする三菱グループ各社の経営が冴えないこともあり、16年10月、ゴーン容疑者統治下で経営建て直しが進むなか日産が出資(約2370億円)し実質、傘下入りした。
もっとも、それから10年間、三菱グループ3社の出資分と合わせ計51%以上の株式を保有するという条件付きだった。当然、三菱グループとしてはこの間に“三菱”を冠する三菱自動車を再び買い戻す意向があったはずだ。
実際、今年3月、三菱グループ御三家の1社、「三菱商事」がTOBを行い、三菱自動車に対する出資比率を9・24%から20%に引き上げ持分適用会社とした(残りの御三家、三菱重工業1・4%、「三菱UFJ銀行」0・9%)。
ところが、三菱商事は約1200億円も投じたものの、豪腕のゴーン容疑者の下、カネを出しても口を出せない状況だった。
例えば、三菱側は三菱商事から送り込んだ白地浩三副社長を、今年6月の株主総会を経て、同じく三菱商事出身の益子修CEO(上写真の右人物)の後任にする予定だった。ところがゴーン容疑者がイエスマン・益子氏の留任を求めた結果、白地氏は行き場がなくなり監査役に。また、ゴーン容疑者と益子CEO以外は社外取締役とした結果、三菱側はなおさら口出し出来なくなった。
こうしたなか、今回の事件が起こった。