本紙は4月6日、「背後にノンキャリ情実人事の犠牲との指摘もーー総務省が隠蔽したある係長の自殺」なるタイトル記事を報じた。
今年2月23日に亡くなったのは、総務省大臣官房会計課物品管理係長だった田村美代治氏。自宅(冒頭写真2枚とも)で首を吊っていた。まだ30代前半で、余りにも早い死だった。
本紙がその事実を知ったのは、関係者から情報提供があったからだ。
その情報提供者は、こう告発した。
「いまの総務省、なかでも旧自治省のノンキャリ人事は余りに恣意的。一生懸命働いても、それがまったくというほど評価されず、その一方で、人事を握るごく一部の者におべっかを使う者、そして人事畑の者だけが優遇される傾向が強いシステムになってしまっている。
田村氏はそんな人事の在り方に絶望し、ついに精神を病み自殺した。第2、第3の犠牲者を出さないためにも、そのシステムを代える必要があると思い、声を上げることにしたんです」
本紙は第1弾記事の予告通り、この2週間余り、その人事システムの構造問題について取材をしていた。その結果、その告発通り、その問題点が浮かびあがって来た。
周知のように、総務省は2001年1月、旧自治省、旧総務庁、旧郵政省の3省庁が統合して誕生した。
職員数では旧自治省は300数十名に過ぎず全省のなかでもっとも小世帯。これに対し、旧総務庁はその約10倍、旧郵政省も約8倍抱えていた。
しかし統合後の総務省でも、もっとも権力を握っているのは旧自治省。なぜなら、地方自治体に配分する地方交付税などの権限を持ち、その財政規模はわが国の一般会計をも上回るからだ。
その傍証として、総務省の歴代事務次官人事が挙げられる。すでに岡本保・現事務次官(左写真)で9代目となるが、初代の嶋津昭氏を含め実に5名が旧自治省出身なのだ。
しかも、旧自治省は旧内務省の流れを汲んでいるが、故・後藤田正晴氏、中曽根康弘氏など旧内務省出身の有力政治家は多く、政界そして内閣にも大きな影響力を持っている。
こうして見て来ると、この人事問題は単なる一省庁の問題では済まないとの見方もできる。