■プロフィール 投資歴18年、出版社勤務の兼業投資家。投資に必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」、3に「ファンダ」だと考えており、勝ってもおごることなくたえず反省を繰り返し、安定して資産を増やす投資を心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
先週木曜日の日経平均株価の終値は22,539円と、先々週が+550円の上昇で、先週が+501円とまたしても大幅な上昇で引け、土曜朝の日経平均CFDを確認すると22,582円となっている。先週は、経済指標がでるたびに、何度も一時的な急落をみせた日経平均ではあったものの、すぐさま押し目を買う投資家の買いに支えられてすぐに急落前に戻り、そこからはジリ高を繰り返した。この結果、2017年10月の日経平均株価は19勝2敗、月間で1655円の上昇とまさにバブル相場の様相だ。―――これらはすべて、現在発表されている企業決算が良好で、「通期でもこの勢いを持続する」予想だから、に尽きるようだ。
みずほ証券の集計では、10月31日までに決算発表を終えた41%の企業の上期営業利益は、前年同期比+15%、通期予想は+11%予想。時事通信社が2日までに決算発表した企業604社(金融を除く)の集計でも、売上高が上期前年同期比で+9.4%、上期前年同期比で経常利益は+27.2%となっており、大幅な増収増益となっている。これらは、好調な世界経済や円安を背景に、国際競争力の高い輸出企業の業績が拡大している、との説明だ。現在の各社の平均為替レート(横写真)は1ドル111円に若干切り上がっているものの、今後円安が進めば通期予想はまた上振れるだろう。それを先取りするかのように日経新聞の集計によると、2017年度の上場企業の純利益は前年比+18.8%と、新興国企業並みに伸びる予測だという。この結果、11月2日時点での東証1部企業のEPSは1475円と、筆者の決算前の見通しであった1470円を早くも越えてしまっている。これはもう、バブル崩壊後の日経平均高値の2万2666円をタッチしにいく、とみるのは必然。近年の日経平均株価のフェアバリュー、PER14.9倍で考えると日経平均は21,976円となるものの、アベノミクス以降の平均PER15.6倍で考えれば23,010円が妥当株価である。さらには10月に出ている経済指標はどれも好調で、特に自動車販売などは日米とも予想外の好調でサプライズとなっている。日経平均の親分格であるNYダウも8週連続の上昇となっているのだ。
さて、今週の相場がどうなるか!? さっそく今週のストラテジーをまとめると、5日(日曜)現在、懸念されていた北朝鮮の挑発行動がない。もしかすると8日のトランプ大統領誕生1周年で、派手(水爆実験)にやらかす可能性があるものの、現時点でその兆候をつかんでおらず、すでに事実上の核保有国だということをアピールしながら、北朝鮮は対話モードに入ったのかと考えられる。また、トランプ大統領が5日に来日し日米首脳対談が行われるが、対米貿易赤字の削減は比較的進んでおり、大きな混乱はないとの見方がコンセンサスのよう。となれば、今週もジリ高で、バブル崩壊後の1996年6月の2万2666円をタッチしにいく流れとみたほうが自然。
また、もう1つ見逃せないのは、まさか?の10月30日、31日に「日銀のETF買い」が入ったこと。年間予算が6兆円(保有残高ベース)で現在1兆2826億円予算が残っており、相場の下落時に1日当たり739億円の買い入れが見込まれている中、今年度いっぱいまでで17発も実弾が残っていることになる(※前稿で予算の期限は3月末まで、と記したが確認不足であったことをお詫びしたい)。残すところ年内39営業日あるが、約2日に1回の買い余力がある計算。そこで出てきたのは「1日当たりの買い入れ額の増額があるのでは」という憶測。お役所なので予算は使い切る方向に動くと考えるのが当然。どちらにせよ、1日単位(前場)にでも下落しようものなら、日銀買いが入り、相場を押し上げる力となることは間違いない。
それでも筆者は、今週は新規買いに関しては様子見をさせていただく週としたい。世界景気回復の恩恵を受け、日経平均、NYダウともに今後も強い見通しであることは間違いないが、もう割安で買いたい、と感じる株(企業)があまりになさすぎる。今週からは米国下院で、税制改革の審議入りということもあり、今週は見(けん)でいき、相場の動きを丹念にウオッチする週としたい。来週からは四季報速報相場が始まる。個別株でサプライズがあった場合は、速報でお伝えし、週末に企業分析をさせていただく所存である。
また、日経平均の大きな節目である「2万2666円」到達による、相場急変(利益確定ラッシュ)にも備えたい。筆者は目安を5日移動平均線とし、現在でみると22,198円割れで日経ダブルインバース(1357)を資産の4割程度購入する予定だ。また、日経平均株価が2万2666円に達した際に、なんらかの異変を感じた際も、前述した株式を3割程度購入し様子を見る予定である。ただ、相場が急落しても一時的なもので終わる可能性が高いことは、前述してきた通り。今週はオプションSQがあるので、一波乱があれば今週かと思う程度である。