アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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全国3例目ーー不正請求による保険医取り消しで甲府地裁「違法」判決。問われる地方厚生局の裁量権濫用

 去る3月31日、甲府地裁で、診療報酬を不正請求したとして保険医取り消しになった医師が、国と、国から裁量権を委ねられて保険医取り消しを行った山梨社会保険事務局(現在は厚労省関東信越厚生局山梨事務所)を相手取り、保険医取り消しを求めた訴訟の判決があり、太田武聖裁判長は「本件取消処分は、社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権の範囲を逸脱していて違法」として、原告の請求を認めた。
原告医師は、甲府市内の小児科医院「みぞべこどもクリニック」の溝部達子院長(54。冒頭写真は同クリニックと溝部院長)。
本紙では、この取り消しはおかしいという視点から過去3度、取り上げていた。
保険医取り消しを認めた判決は極めて稀で、今回で全国で3例目。
もっとも、大手新聞はこの重要性が認識出来ていないのか、それとも国と地方厚生局への配慮からなのか、山梨版で小さく報じただけなので、ご存じない読者は多いと思う。
本紙も、溝部医師から連絡をもらうまで知らなかった。
なぜ、この判決が重要かといえば、国が医療費削減を目指す中、取り消しの裁量権を持つ地方厚生局は本来の使命を忘れ、医療費削減=保険医取り消しを増やすという目的のため、その裁量権を濫用し、紋切り型に保険医を取り消す事例が増えているようで、その結果、自殺する医師もかなりの数に上っており、「保険医」の権利が守られていないからだ。

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