■プロフィール 投資歴18年、出版社勤務の兼業投資家。投資に必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」、3に「ファンダ」だと考えており、勝ってもおごることなくたえず反省を繰り返し、安定して資産を増やす投資を心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
先週末の日経平均株価の終値は22,250円と、先週末比で+6円となった。ただ、土曜の朝には日経平均先物は22,140円で戻ってきており、厳密には先週比ではマイナスに沈んだわけだ。
まず、先週の相場を筆者の売買履歴を交えて振り返りたい。先々週の金曜日のNYダウは、10月雇用統計で良好な数字が確認されると、FRBによる12月利上げ待ったなしの雰囲気に傾いたにもかかわらず国債が売られ、米国10年債利回りは一気の上昇となったうえで、NYダウは下げ足を強める、最低な雰囲気で引けた。国債と株式が同時に売られる珍しい現象が起こったわけだ。
この悪地合いを受けた、週明け月曜日の日経平均株価指数は、一気の▲345円安の21,899円まで落ち込んだ。筆者は朝イチで「国際のETFVIX(1552)」を大量購入し、日経平均先物の空売りを仕込んだため、月曜は大きな資産の変動はなかったものの、7日の午後に大勢が決する予定の「米国中間選挙」を前にしてのリスクオンはありえない、と考えポジションを落とさなかった。しかし6日(火)になると、地合いは一変。まるで中間選挙での波乱はありえない! とばかりに株価指数は上昇基調となったため、上記2銘柄をロスカットし、7日(水)の開票を待つことにした。
7日は、アメリカの政治サイト「リアルクリアポリティックス」で開票を見ていたわけだが、朝イチの開票前の謎暴落時に、幸いにも強気に日経平均先物を買い込めて、前場の引けで売るというナイストレードを決めた後は、選挙結果がでた引け間際に日経平均が大暴落で引けたため、引け後に日経平均先物をまたしても購入。これはすでに暴落していたため、早めのロスカット水準を定めやすく、割りきったポジションであったため枚数は多くはなかったが、午後7時過ぎまで引っ張ったため、280円程度の上昇を取ることができ良い結果で終えられた。これも参考にしたサイト「リアルクリアポリティックス」の速報性に大いに助けられたわけで、感謝したい。
そして木曜日のNYダウは、中間選挙の波乱がなかったことを株式市場は歓迎したのか大幅に上昇し、翌日の日本株もこれに引っ張られる形の+401円高で引け、金曜日の日本オプションSQを迎えた。筆者はこの時点で、先々週の金曜日の、国債が売られてかつNYダウが暴落した惨状が正しいのか? それとも波乱なく終わった中間選挙後のNYダウの力強さが本物なのか? 確実な方向感がつかめないでいた。
ただ、SQはたとえマイナーSQであっても、需給の変化が著しく、その後の日経平均株価指数の趨勢を決めることが多いため、流れについていく方針を取り、金曜日の前場すぐには日経平均先物を売り、またしても資産ヘッジポジションをとっている。結果的にSQ値は22,469円に決まり、SQ天井のようになっている。この流れを払しょくし、再度上昇を開始するには、大きな材料がないと難しいと感じる。
さて、今週のストラテジーに移りたい。今週は、先週末のSQ値(22,469円)が「SQ天井」だったのか? が試される週である。ただ、ここまで記しているように筆者の今週の見立てはあまり明るいものではない。というのも、11月30日のG20で行われる「米中首脳会談」が、始まらなければリスクオンはありえないからだ。
このイベントでの焦点は2つ。
交渉に進展がなければ、(1)すべての対中輸入貿易製品(総額2570億ドル)に追加関税第4弾が発動される。2月発動予定(2)すでに発動されている対中追加貿易関税第3弾の2000億ドル分10%を →2019年1月に25%に引き上げる方針を回避できるか? である。
おそらく、中間選挙が終わった米国に妥協の2文字はないだろう。反面、苦しんでいるはずの中国・習近平氏に、いまのところ引く気配もない。ようするに予断を許さない状況で、ある意味、結果いかんによっては中間選挙以上の大波乱が待っているといっていいだろう。また本格的なリスクオンもこの日を境に起こるものとみている。
このビッグイベントが控えている限り、ここから3週間の日経平均株価の上値は抑えつけられるだろう。そもそも日経平均の累積売買代金は、2万1500円~2万2000円までが117兆円、2万2000円~2万2500円まで176兆円、2万2500円~2万3000円で230兆円であるため、需給上の問題から2万2500円台にはたいへん乗せづらい。先週を振り返っても売買代金がガタ落ちとなっていた。これでは上に行く可能性はない。TOPIXも同様で、1700~1800ポイントは売買代金が一気に膨らんでいるため、1700ポイントを前に戻り売り圧力が強い。テクニカルの移動平均線でみても、金曜日には200日線である22,374円を越えてからは弱めの推移となった。分かりやすく跳ね返された形だと捉えてよいだろう。