●裁判官は、公務員組織の犯罪等の隠蔽に加担するのか 東京地裁の藤下健裁判官は3月14日、米国の健康食品会社への課税処分に関する民事訴訟で、被告の読売新聞社に対し、公務員には守秘義務があるから、取材源が公務員である場合、読売側が取材源の証言を拒否することは認めないとする決定を出した。 大手マスコミ各紙も、さすがにこの決定には、「内部告発の芽を摘む」、「報道機関の役割を認めない無茶な決定」、「守秘義務違反は形式論に過ぎない」などと批判的報道をしている。 違法であることは、裁判官の比でなく、情報を漏らす公務員自身が一番よくわかっている。首になる可能性も大、退職金もパーになるのになぜ漏らすのか? その最大の理由は、伝えることが公益性にかなっていると判断したからだろう。ところが、この裁判官は公務員=守秘義務=違法と紋切りに捉えて違法と結論づけたというのだから、呆れる他ない。これではマスコミはもちろん、国民の要請にも反している。 ●泣く泣く和解に応じた、甲府信用金庫被害者 近年、今回のような法律のプロ云々以前、国民が何を求めているのか、そして世間の常識さえ理解できない裁判官が目立つ。 ある大きな汚職事件で、ワイロを渡した関係者が、その場所は喫茶店と証言したら、そんな人の目があるところでワイロを渡すはずがないと、その証言を裁判官が認めなかったことがある。 だが、そういう人の目があるところだからこそ、それに紛れてさりげなく渡すこともあるのが現実。密室とは限らない。それほど、世間の価値観、常識からズレている裁判官がおり、今回の決定もその類といっていいだろう。 話は変わるが、銀行と顧客の訴訟で、銀行=公的機関=正しい、顧客=怪しいと、最初からとても公正な観点から審理しているとは思えないケースも目立つ。 ハンコを押すことが、その者に大きな法的責任があることはわかるが、3月10日に和解した甲府信用金庫(山梨県)と被害者(古屋嗣雄氏)とのケースは、銀行の支店長(当時)と被害者の親族(同信金不良債権の債務者。故人)が最初からグルになって勝手に融資手続きをした可能性が高い(そして、不良債権を穴埋め)し、実際、融資されたとされる4000万円の内ビタ一文、古屋氏は手にしていなかった。 それにも拘わらず、支店長は何ら罪に問われず、ハンコ絶対主義を取り、事情を一切酌まない裁判官。そうしたなか、訴訟に絶望し、泣く泣く和解した古屋氏の心中を担当裁判官は少しでも思いやろうとしたことがあるのだろうか。 いまさらながらだが、裁判(官)は公正ではないし、その質は低下していると言わざるを得ない。…