志摩兆一郎技官と、「NTTデータ」の沖良太郎部長の贈収賄事件で揺れる特許庁ーーその上部団体である経済産業省は6月29日、特許庁発注のコンピュータシステム一元化のための設計開発事業入札手続きなどを検証する外部調査委員会を設置(委員長は元東京地検特捜部検事の五木田彬弁護士)した。
この入札、具体的には06年11月に行われた一般競争入札を指す。
NTTデータ、日立製作所、東芝ソリューションの3社が応札。だが、落札したのはNTTデータではなく東芝ソリューション(冒頭写真=梶川茂司社長)だった。
現在使用されている特許庁の「基幹系システム(出願に関するもの)」はNTTデータが が開発、1990年から数回のバージョンアップを経て運用されている。その後の保守も「データ通信サービス料」(通称:デ通サ)という名目で随時契約となり、同社が担当(年間数十億から150億円)している。
しかし、こうした1業者のみが長く担当するとコスト高を招くとの批判を受け、04年にNTTデータとの随時契約を見直した。そして、06年11月の入札では、NTTデータの約147億円に対し、東芝ソリューションが94億5000万円で落札。
NTTデータは技官から不法に情報を入手までしたものの落札できず、特許庁のコスト削減の目的は達せられ、一見、結構なことのように思われる。
だが、このコスト削減は結果的にとんでもない事態を招いている。