12月28日、慰安婦問題で日韓政府が解決とすることで合意したことは、何はともあれいいことだろう。
それと並行するように12月25日、画期的な判決が東京地裁で下った。
韓国人写真家・安世鴻氏(44。名古屋在住)が、一眼レフカメラ大手「ニコン」(東証1部。7731。東京都港区)は従軍慰安婦問題をテーマにした写真展をニコンサロンで行うことを一旦は許可しながら、一転、理由も明確にしないまま一方的に中止したことは違法だとして提訴した件で、安さんの言い分を認め、ニコンに110万円の支払いを命じた件だ。
公的施設での使用拒否を巡る判例はあるが、私企業施設を巡る明確な基準がないなか、今回判決は「一方的な中止は表現活動の機会を失わせることになり、回避できない重大な危険がある場合のみ認められる」との判断を下した。
この写真展中止事件は2012年5月に起きた。
ニコンは一眼レフカメラで「キャノン」と双璧。年商8578億円(15年度)を誇る大企業だが、同社はニコンサロン(銀座、新宿、大阪)を半世紀に渡って設けており、そこでの個展は写真家にとっての登竜門でもある。
安氏は11年12月、「中国に残された日本軍『慰安婦』の女性たち」と記し、写真40枚を添えて応募。ニコンサロン選考委員会(5人の写真家で構成)はその作品を評価し、12年6~7月の2週間、新宿(大阪も)での開催を認め承諾書を送った。