プロ野球・横浜ベイスターズの買収に向け、真剣に交渉が行われたものの、本拠地などの条件が合わず、結局、買収には至らなかった東証1部、住宅設備大手「住生活グループ」(東京都中央区)ーーしかし、そもそもこの企業、球団を運営する資格があるのか!?(冒頭写真=右・「毎日」10月27日夕刊記事。左・「日経」10月12日夕刊)
というのは、同社は傘下に主要子会社「INAX」を持つが、いまも続く同社と政治結社との訴訟を見る限り、不正疑惑に対し、自浄力を十分に発揮したり、説明責任を果たしているとは、残念ながら思えないからだ。
INAXと訴訟を行っているのは、政治結社「正気塾」(本部・長崎県長崎市)。
この9月28日、名古屋地裁で1審判決(平成21年ワ第7254号。街宣活動等禁止等請求事件)があり、徳永幸蔵裁判長は正気塾はINAXの上野緑工場(三重県伊賀市)に対する街宣などを行ってはならない、また235万円を支払えと命じた。
判決だけみれば、正気塾の全面敗訴であり、同団体はこれを不服として、名古屋高裁に10月9日、控訴した。
正気塾側が全面敗訴にも拘わらずこの件を取り上げるのは、本紙はこの上野緑工場の疑惑をこの間取材し、かなりの回数報じ、少なくともこのINAXの件に関しては、正気塾の主張していることは決してデタラメなものではないことを知っているという理由が一つ。
念のために断っておくが、むろん本紙は正気塾とは何ら利益関係はないし、まして、例えば過去、同団体構成員が行った長崎市長に対するテロ行為など断じて許されないことはいうまでもない。(横写真=正気塾の街宣風景と、INAX上野緑工場)
しかし、そんな団体でも政治結社として長崎県選挙委員会に届け出た合法的団体であり、道交法や三重県条等を遵守し街宣を行い、ましてその糾弾の内容がデタラメでないのであれば、是々非々で判断するのが民主主義国家における基本というものだろう。
そして第2の理由だが、今回の訴訟は正気塾が街宣を始め、これに対しINAXが街宣禁止の仮処分を提起するなか、両者が本訴でどちらの主張が正しいか裁判所の判断を仰ぐという合意の下、正気塾が自主的に街宣を辞めた経緯がある。ところが、和解の約束通り、INAXが告訴して実際に裁判が始まったものの、正気塾がINAXに対し文書提出命令申立を行っても何ら認められず、たった3回の口頭弁論で判決を下しており、裁判官は当初から正気塾に対して偏見と差別を持ち、実質、ほとんど何ら審議されることなくINAX側勝訴の判決が下っていると思わないわけにはいかない。
これでは、到底、審議が尽くされた結果の判決とは思えない。
では、正気塾がINAXを糾弾していた、上野緑工場で起きている疑惑とはいかなるものなのだろうか。