03年、大広、読売広告社と経営統合し、売上が1兆円を超え、業界1位の「電通」と対峙している「博報堂DYホールディングス」(2433。東証1部。東京都港区。冒頭写真は本社ビル)ーーその傘下中核企業が「博報堂」だ。
博報堂が水増し請求するなどして約15億3000万円を不当に得たとして、その返還請求訴訟を福岡地裁に起こされたのは5月20日のこと(下写真は訴状)。
しかし、博報堂のHPを見てもその事実は載っていない。それは大手マスコミのニュースも同じ。
事件化でもしない以上、まず報道されないのは、博報堂も電通同様。広告掲載の代行を依存しているため、マスコミ各社にとって博報堂も極力、マイナスのことは触れられないタブー的存在なのだ。
提訴したのは、化粧品、健康食品の通信販売会社「アスカコーポレーション」(福岡市博多区)。
南部昭行社長が“無添加”を売りに、わずか10数年で100億円企業に育て上げた。
その躍進の上で大きな役目を果たしたのが広告。TV、ラジオ、新聞、雑誌への掲載はもちろん、自社の顧客向け情報誌、街頭イベント、アフィリエイト、自社HP、深夜の通信販売番組放送に伴うコールセンター業務――当初はこれらの掲載、実施、製作代行、委託を複数のところに頼んでいたが、11年からは博報堂に一元化。そして約9年間で、博報堂と実に総額約120億円の取引があった。ところが、そのうちの少なくとも約15億3000万円が不当なものだったというのだ。
それにしても、いまごろアスカ社はなぜ気づいたのか。別の言い方をすれば、これまで気づかなかったのか。