本日1月20日、第193通常国会が召集された。焦点のひとつが「テロ等準備罪」を新設する、組織犯罪処罰法の改正案だ。名前は違うが、2005年以後、自民党、民主党政権の下、3回上程されたが廃案となった「共謀罪」と全く同じものだ。 「実際に犯罪を犯していなくても、2人以上が共謀(話し合い)した段階で逮捕できる」という、日本の刑法体系を根底からくつがえす法律であり、思想の自由への影響は計り知れない。だからこそ3回も廃案になってきた。本紙もジャーナリスト仲間とともに、共謀罪にはこれまで一貫して反対してきた。 議員会館前の歩道には、朝から反対派の市民が結集。「秘密保護法を廃止へ!実行委員会」など数団体が主催した。小雪のちらつく昼休みには600人以上(主催者発表)が“共謀罪NO!”の横断幕を掲げ、国会に向けてシュプレヒコールを繰り返した。日本弁護士連合会の海渡雄一弁護士などが改正案の問題点を指摘、同日午後2時から開かれる「国会提出を許さない院内集会」への参加を訴えた。 今回、安倍政権は「東京五輪に向けたテロ対策のために必要」としているが、とってつけたような理由でしかない。昨年あれほどテロの可能性が叫ばれた伊勢志摩サミットでも何も起こらなかった。「一般の方が対象になることはない」(菅官房長官)というが、一方で「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらない」(石破茂・衆院議員)との発言に見られるように、成立すれば将来、政府にとって都合の悪い行為一般が適用対象に含まれる可能性がある。実際、改正案では処罰の対象は曖昧であり、対象となる犯罪も300前後と非常に幅が広い。 しかし、野党も強く反対した特定秘密保護法や安保法制を、与党議員の圧倒的な数の力で強行成立させたのが安倍政権だ。共謀罪の危険性が広く知られ、反対世論が盛り上がるかどうかが、分かれ道となる。…