■プロフィール 株歴17年、出版社勤務の兼業投資家。資産は2015年に一時、一億円越えとなるも現在は漸減中。投資に必要なのは1に「需給」、2に「ファンダ」だと考えており、できるだけ負けない投資を心がけている。
≪先週の相場展望の振り返りと今週の見通し≫
先週金曜日(2月3日)の日経平均の終値は18,918円で、先々週金曜日の終値が19,467円だったので1週間で585円もの大幅下落となってしまったNIPPON株式市場。それでも個人的には、金曜PM10時半に発表された米国の雇用統計、そして0時のISM非製造業景況感指数がかなり好調な数字だったため、先物を少し買って高みの見物を決め込んだ。実体経済がよいと経済指標や企業決算が言っているのに、日本株だけ下がりすぎていると感じたからだ。
だが、雇用統計発表時間の10時半頃からダウは右肩上がりで上昇を開始し始め、一緒に日経平均先物も上げようともがくのだが、反比例するように為替(円)が下落し、その形が最後まで崩れず土曜朝の日経平均CFDを確認すると19,056円と、たった138円しか上昇していない。
米国は結局181ドルもの上昇で、ダウ指数2万ドルの大台に戻ったのに……だ。これもすべて、112.60円で終わった為替(円)のせいである。確かに雇用統計をみると平均時給の伸びが緩慢で、3月利上げがほぼなくなったこともドル円の軟調に大きく寄与したようだ。
しかしもっとも大きな理由は、週末2月10日に控える日米首脳会談でトランプ氏が「日本に何を迫ってくるか!」に尽きるというのが市場筋の見立てだ。3日の日銀の国債買い入れオペレーションも嫌なタイミングでけちがついた形で、ドル円を不安定なものにしている。
ただ、これまでさんざん「壁」やら、「イスラム圏からの入国制限」「ドルは過剰に高い」だとか、過剰なアメリカファースト政策を押しつけてきたので、こういった発言に関してはだいぶ耐性がついてきている頃だろう。もう、そんなことよりこれから出てくる「減税」「インフラ投資」発言を楽しみにしておきたい。取り下げた可能性があると不安視されていた「金融規制の緩和」(ドッド・フランク法)の見直しについては2月3日に言及があった。迅速さが売りのトランプ大統領であるので、日米首脳会談を待たずにツイッターで発言し米国議会にプレッシャーをかけにいくだろう。
そもそも決算発表も佳境を迎えた今、日米企業のEPSは非常に順調に推移している。
まずは日本から。ここまでの東証1部企業の決算は予想よりもずっと良好。EPSは前年同Q比で33%も伸びている(※事前の予想では1割程度の増益)。2017年度の決算も当期利益はプラマイゼロから3.5%程度の増益が見込まれているのだ。決算を発表した企業のうち7割程度の企業が上方修正を出し、2月3日の日経平均EPSは1198円まで上昇している(※1月6日時点では1175円)。最終的に3Qの決算が出揃う頃にはEPSは1230円近辺までは最低線上昇し、保守的な決算を出してきた日本企業の2017年度3月期のEPSは、1300円に近付くはずだ。ちなみに2018年度も企業決算は1割程度の増益がコンセンサスである。
また米国も決算が出揃い、前年同Q比4.5%程度の増益、2016年度(米国は12月本決算が多い)はちょい増益で着地したもよう。2017年度も1割の増益見通しで2018年度も1割の増益見通しである。
ここからは、日経平均18000円台は、いい押し目を拾っていきトランプ大統領が確実に推し進める「企業個人への大幅減税施策」、そして1兆ドルともいわれる「インフラ投資」の成果で、世界経済がより強く復興する流れを先回り買いしたい。
ようやく2月28日に「一般教書演説」の日程が決まり、予算教書演説は3月初旬となりそうだ。ようするに3月初旬までは強気でいってよいと感じている。