■プロフィール 投資歴18年、出版社勤務の兼業投資家。投資に必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」、3に「ファンダ」だと考えており、勝ってもおごることなくたえず反省を繰り返し、安定して資産を増やす投資を心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
先週末の日経平均株価の終値は23,387円と、先週比-301円(前稿比▲140⇒ +623→ ▲622→ ▲214円→ +190円→ +194→ ▲160→ ▲206→ +669※12月2週目)もの下落となった。
その夜のNY市場は、引けSQであったものも崩され-228ドル安となる28,992ドルで終わり、先週比-406ドル安。もちろん日経平均CFDも23,214円と連れ安し、週間では実質で-474円もの大きな暴落となったわけだ。そして、週明けの月曜となる24日AM9:00現在、日本は休場であるものの日経平均CFDは突如、大暴落となる22,800円をつけ、夜PM20:00の段階では、22,340円ラインの-1000円安の超大暴落となってしまった。この暴落のわかりやすい説明はいまのところでてきておらず、とにかく今後は「米国のSQ後には気をつけろ!」ということだろう。
先週を振り返ると、筆者の想定よりも地合いが悪かった。特に、週の後半からは地合いがはっきりと悪くなった感がある。日本株は、水曜日から突如として円安になったにもかかわらず、株価浮揚につながらなかったことが分かりやすい兆候であったといえるだろう。そもそも、1円の円安となれば日経平均株価は200円以上上昇するのが常である。加えて先週の米国のSQが終わったことで、買い支えの力が働かなくなり、需給が緩んで、いまお伝えしたような株価指数まで落ちてしまっているのだろう。
さっそく今週のストラテジーへと移りたい。新型肺炎は致死率だけみれば、大きな脅威ではないように思えるが、経済への影響はすこぶる大きい。なにせ1人の患者がでただけで、会社や工場の稼働が止まっている様子が散見されているのだ。これがジワジワと世界各地に蔓延するだけで、世界中の生産が止まってしまう。株式市場は、死者数ではなく、この実体経済に与える影響の度合いをいまごろになって気にし始めたということだろうか!?
日米ともに、今年に入っての安値を割り込んでしまったので、これは弱い!と素直に認めざるを得ない。日経平均株価は2月3日につけた22,776円を割って、NYダウに関しては1月31日が安値で28,170円だが、現在のところこれを少し割り込んだあたりでもみ合っている。為替に関しては、このリスクオフの段階でも111.247円と円安基調を崩していないのが救いだが、これもいつまでもつかは予断を許さない。
今週は、200日線である22,194円を一回は試しそうだと言っていいだろう。ここで余力のある方は、「NF日経レバレッジETF(1570)」や、買いで先物のエントリーは充分意味がある投資だと思う。ただ、根本的に新型肺炎の蔓延が止まり、経済がもとに戻る兆候がでてこなければ、本格的な買い主体の様子見は続きそうだ。 最後に今週以降のストラテジーを記して終わりたい。日銀短観(12月調査)で見るに、大企業・製造業の2019年度の下期想定為替レートは1ドル106円90銭。現在はこの水準を大きく上回っており、これは輸出主体の企業業績に効くだろう。 また、足元の2019年10~12月期の東証1部決算が終わったが、経常利益は前年同期比-9.1%減だったようだ。昨年末は、市場予想は+1.2%程度であったので、大外しもいいところ。通期業績の下方修正は1兆4800億円、上方修正を除くと7700億円のマイナス予想。ただこれは新型肺炎の影響を考慮しておらず、現在のところ2020年3月期通期決算はこのまま-9%減益の見通しであるものの、確実にこれを下回る決算にお目にかかるだろう。
上記の企業業績を折り込んで、しばらくは強い反発が期待できないことから、現在の株価先物指数は暴落している。ただ、ここからは世界各国が協調して景気対策がどんどん出されることは確実だ。新型肺炎のおひざ元の中国などは、中国人民銀行による利下げを含め、毎日のように景気対策が打ち出されている。そもそも中国での新たな感染者の増加数も当初は3000人を超えるような罹患者数だったものが現在は1000人を大きく割り込むようになっているのだ。