筆者・平地治美(薬剤師。鍼灸師)。漢方の良さを伝えるため、日々の臨床では治療だけではなく自然治癒力を高めるための“養生”の指導に特に力を入れ、一般の人たちへの健康指導を積極的に行う。朝日カルチャーセンター新宿、津田沼カルチャーセンター等で「女性のための漢方レッスン」「舌診入門」「季節の過ごし方と食養生」などの漢方関連の講座を担当。和光治療院・漢方薬局(千葉市若葉区TEL043-232-6258)で治療。千葉大学医学部医学院和漢診療学講座非常勤講師。京都大学伝統医療文化研究班員。日本伝統鍼灸学会理事。漢方三考塾講師。著書に『げきポカ』(ダイヤモンド社)、『舌を見る、動かす、食べるで健康になる』(日貿出版)。「平地治美の漢方ブログ」発信中。
漢方には「未病(みびょう)」という言葉があります。
未病とは、病気の一歩手前の状態のことです。「何だか調子が悪いな」という程度で、病院で検査をしても何も見つからないということもよくあります。冷えは、まさにその未病の代表です。体が冷えると、体を健康に保つために必要な血液などの栄養がうまく行き渡らなくなり、その結果として痛み、痺れ、不眠、無気力などの精神症状、生理痛など様々な不調を招くだけでなく、重い心の病気やガンなどの複雑な病気に発展することもあります。
冷えを感じたら、それは体からのSOSのサインなのです。
■冷えは“養生”でとる!
ただ体を温めるだけで、冷えはとれません。
じつは、「冷え性」という病気は存在しません。冷え性を「冷え症」と書かないのはそのためです。病院では治せないもので、西洋医学には存在しないのです。こんなときに強い味方になるのが漢方です。
漢方というと、漢方薬をイメージする方も多いかもしれませんが、お灸、鍼、あんま、気功や運動、生活習慣を正す養生など、すべてを総称して漢方と言います。
ですので、冷えの改善を漢方で行う場合も、生活習慣を改善する「養生」が特に重要になってきます。