■プロフィール 投資歴18年、出版社勤務の兼業投資家。投資に必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」、3に「ファンダ」だと考えており、勝ってもおごることなくたえず反省を繰り返し、安定して資産を増やす投資を心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
前回の本稿で、「GW前の4/23~5/2までの見通しはたいへん明るいものになる!」と宣言した通りに、筆者は大型株中心に、買いポジションMAXで相場に臨み、不安に駆られながらもポジションを落とさなかった。その結果は日経平均株価が22,162円(4/20引け値)→ 22,473円(5/2引け値)の+311円高で、+1.4%で着地。筆者の資産はというと、この間+4.4%と日経平均株価をアウトパフォーマンスすることができ、たいへん満足のいくものだった。
途中、「三菱UFJ(8306)」、「オハラ(5218)」が大きな上昇を開始したのをみて大歓喜した(※その後へこんだ…)が、この2銘柄は短期で売るつもりはなく、まぁ良し、としよう。信越化学の決算をみて、うまいこと「SUMCO(3436)」のデイトレも成功したことも大きかった。
ただ、事ここに至るまで、NYダウの軟調さと、これに反比例するような日経平均株価の堅調さが目立ち、たいへん難しい地合いだったといえる。とくに4/24(火)には、NYダウが寄付きから-751ドル安があっての-425ドルで引け、翌朝には真剣に保有株を投げ売りすべき局面なのかどうか思案した。
しかしなんと翌日の日経平均株価は-159円安と寄付いてからも堅調で、引け値は-63円安となり、ホッと胸をなで下ろしたが「これを単純に円安効果だけで片づけてよいのか? ここから本格調整がくる可能性はないか?」と悩みに悩み抜いた。ただ筆者の不安をよそに、その後のNYダウは、とくに5月に入ってからは大きな下ヒゲがでるような軟調推移が目立つも、日経平均は相対的に堅調といえる推移となり、先週5/4(金)の「雇用統計」を迎えたわけだ。そしてその雇用統計は、心臓に悪いくらいの大波乱を呼んだ。
とはいっても、この雇用統計ででてきた経済指標に特段のバットサプライズがあったわけではない。失業率が3.9%と改善し、平均時給(前月比)は、予想+0.2%だったものが+0.1%とでて「やっぱりインフレ傾向になってないじゃないの…」、といったぐらいだろうか。ただ、この大イベントを肴にして、為替も巻き込んだドンパチをしたかった向きがいたとみえて、ドル円は108.64円と、鉄壁だった109円を割り込んでしまい日経平均CFDは22,158円と大幅に下落し、一時5/2(水)の引け値から-315円となった。
さて、ここで今週のストラテジーに移りたい。ここまで、前2週間の推移を振り返ってきたのは、今週がいかに安心して投資できる週なのかを解説するためである。
先週金曜のNYダウは、前述したように雇用統計で大波乱はあったものの、大物投資家バフェット氏のアップル株大量保有宣言もあり、引けにかけてぐんぐん指数を伸ばして+332ドル高で引けている。ここまで散々下ひげを出してきたNYダウが、ここにきて大陽線になったという事実は大きい。残念ながら、5/2(水)にドル円で110円に迫った為替が、5/4(金)には109.12円までへたってしまったので、日経平均CFDは22,459円と5/2(水)比で小幅なマイナスとなっているが、筆者の見立て通りなら、おそらく週明け5/7(月)の寄付きは、22,500円ぐらいまでギャップアップして始まってもおかしくないだろう。
今週は、10日(木)に、米国の重要経済指標である「消費者物価CPI」がでるが、これさえ波乱を呼ばなければ、11日(金)の日本のオプションSQに向けて上に向かうのが自然な流れだとみる。ただ、日経平均の累積売買代金は、2万2000円~2万2500円が49兆円だったのに対して、2万2500円~2万3000円のゾーンは84兆円もあり、1日当たり3兆円に届くような売買代金の増加がなければ戻り売りの勢いも強いとみたい。
逆に懸念点は、やっぱりNYダウ。日経平均株価に比べて弱い推移をするNYダウというのはあまり記憶にないことで、米国の経済情報だけは丹念に拾っていきたいものだ。また先週は、NYダウの200日線の攻防が大きな話題となった。現在はこのラインが23,623ドルであり、再度23,700ドルを下回るようなクラッシュがきた場合は撤退したほうが無難だと考えている。これまでの安値は4/2の23,344ドルである。