アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

内部・外部告発、情報求む!

(弁護士などのプロが調査。ただし、公益性あるケースに限る)

警察庁内記者会見への出席妨害禁止を求め、フリーライター仲間の寺澤有氏等、仮処分申請

●疑惑が出ているにも拘わらず、宮城県知事を批判する警察庁長官 フリーライター仲間の寺澤有氏(38歳)、それに講談社『週刊現代』副編集長の舩川輝樹氏(39歳)が、7月11日までに、警察庁の記者会見に出席させないのは報道の自由の侵害だとして、国と警察庁記者クラブ、さらに朝日新聞社等警察庁記者クラブ加盟15社に対し、記者会見への参加を妨害しないように求める仮処分を東京地裁に申請した。 最近、全国の自治体警察において、犯罪捜査報償費が不正流用されている疑惑が次々と起きている。宮城県警でも同様の疑惑が起き、寺澤氏は『週刊現代』で記事にすべく、今年7月4日、宮城県の浅野史郎知事をインタビュー取材している。浅野知事は6月24日、不正流用の疑惑があるとして、7月からの配当分の報償費予算につき執行停止するという、過去例のない強い態度で臨んでいるからだ。 ところが、これに対し、6月30日、警察庁の漆間巌長官は「警察活動への介入そのもの」、「何も問題ないのに、執行を止めるのは権限の乱用だ」等、批判的見解を述べたため、寺澤氏は漆間長官に取材申し込みをした。 しかし、警察庁広報室は「個別案件についての長官へのインタビューは応じていない」として取材拒否した。そのため、寺澤氏等は警察庁内で記者クラブ加盟社相手に行われている記者会見の場で質問するしか方法はないと考え、警察庁広報室、記者クラブ、記者クラブ各加盟社に出席を認め、かつ、質問させるように申し入れを行ったが、広報室は「定期的な会見は行ってない」旨、的はずれな回答を寄こしただけだった。 ●報道する寺澤氏を無視し、結果的に警察庁側につく記者クラブ加盟各社 しかも、漆間長官自身、愛知県警本部長時代(96年3月)、「本部長激励慰労」として、15万円分の報償費を使っていたとする警察内部資料を、寺澤氏は情報公開法により入手している。その点については、捜査費用で自らの宴会を催すのもとんでもないが、15万円というその切りのいい額からしてカラ宴会を開いて裏ガネを作った可能性もあるとして、なおさら寺澤氏は漆間長官に取材したかったという。 ところが、記者クラブと加盟各社の対応はどうだったか。 寺澤氏の警察庁記者クラブでの会見での取材申し込みに対し、クラブも、そしてどの社も無視したのだった。 そこで取材する術を失った寺澤氏等は、本件仮処分申立を行ったという。 上掲記事は漆間長官の前述したような発言、対応を報じた『週刊現代』(7月23日号)の寺澤氏署名記事(4頁)。そこには、15万円の宴会費の証拠資料も掲載されている。 それにしても、警察庁広報室はともかく、本来、報道仲間であるはずの記者クラブ加盟社15社すべてが、寺澤氏等の申し入れに対し無視、拒絶したというのは情けない。 捜査報償費は我々国民の税金で賄われている。だから、疑惑が生じたら、知事が配分の執行停止をするのは当然のこと。それを批判することに対し、浅野知事が寺澤氏等のインタビューに「そういう前に、漆間長官は宮城県警本部長に対し、早く疑惑を晴らせと指示するのが本来の立場でしょう」と答えたというが、この方が筋が通っている。 ならば、漆間長官の見解を質すのが報道機関のあり方ではないのか。それをせず、そうしようとする寺澤氏等の取材申し入れを無視する報道機関とはいったい何なのか? まさに記者クラブの存在が問われている申し立てで、地裁がどう判断するか注目される。…

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