わが国で高金利、元本保証を謳い、約200億円をかき集めて償還不能にした「インペリアルグループ」という詐欺疑惑ファンドの中心人物・今津雅夫氏(=冒頭写真)ーー(上)記事で紹介したように、この今津氏を訴えた鹿児島県在住のS氏の民事訴訟では、今津氏は上告までして争ったものの、1100万円については、今津氏はS氏を「欺罔して本件投資資金を預託させた上、これを(略)流用、領得したもの」との判決が06年11月に確定している。だが、今津氏はこの判決を無視し一銭を支払わないため、S氏は次女が購入した4000万円相当の一戸建て住宅(下写真)の資金の一部に流用されているとして2度に渡り提訴したものの敗訴している。
S氏は次女は当時、まだ大学を出たばかりの23歳なのに無担保で購入。また、今津氏の元で働いていたこともありインペリアルの破綻を知っていたことから、共謀しているなどと主張。それに、次女は今津氏妻名義の英国に所有していた家を売却した資金で購入したとも主張していたが、裁判所から2度に渡りその証拠提出を命じられながらこれを無視していた。
ところが、この手の訴訟は判例上、ハードルがひじょうに高い。仮に今津氏名義で次女の口座にカネが振り込まれ、その直後に自宅を建てたとしても、この振り込まれたカネが自宅用に消費されたことを立証しなくてはならないほど。要するに、民事判決は勝訴しても、実際の資金回収にはなかなか結びつかないのが実態だ。
だが、S氏が今年5月17日に「再審請求の申し立て」、また10月1日に敗訴判決を出した高裁、最高裁裁判官罷免の訴追を求める請求状を出したのは、その高いハードル通りでさえなかったからだという。それ以上に、余りにデタラメ過ぎる判決だったからで、今後、検察審査会を念頭に、公務員職権濫用罪での告訴も検討しているという。
どういうわけなのか?