■プロフィール 投資歴17年、出版社勤務の兼業投資家。資産は2015年に一時1億円越えとなるも現在は横ばい近辺で推移。投資に必要なのは1に「メンタル」、2に「需給」、3に「ファンダ」だと考えており、勝ってもおごることなくたえず反省を繰り返し、安定して資産を増やす投資を心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
先週までの相場を一言で振り返ると、「膠着感の極めて強い相場」というほか形容しようがない。そしてその流れが、今週変わるか!? についてはものすごく見通しにくいのが現状だ…。
確実なことは、ヘッジファンドなどの投機筋が、円を大量に売ったポジションを持ったまま、円高に振れてしまっていること(テクニカルの項にCFTCのポジションを記載)。ここからはヘッジファンド勢の損きり買戻しの動きがでて、さらなる円高を迎える可能性が極めて高く、日本株にとって、大きなマイナス要因となる。
そして日米ともに決算が良い!ということはかなりの部分織り込まれているようだ。大きなポジティブサプライズだったFA関連の「安川電機」(6506)などに関しても、決算後、出来高が減ってきてしまっており、ガンガン上値を買い上げてステージを変えるような動きにはなっていない。アメリカに関しても、トランプ大統領が強力に推進してきた「オバマケア代替法案」が上院で否決され、返す刀で繰り出された「オバマケア撤廃法案」も否決…、議会ではなにもかも否決され機能不全に陥っている。
その後、週末にでてきた「国境税の導入見送り」に関しては日本株にはポジティブだが、海外に生産拠点を移しているアメリカの小売業からの強い反対で取り下げる判断になったようで、本末転倒とはこのことだろう。
今週は、雇用統計週であり、ほかにも重要指標が目白押しである。そのなかで筆者が最注目と考えているのが、1日(火)に発表される「米6月個人消費支出」と「米6月コアPCEデフレーター」である。両指標とも前月比0.1%以上の数値が発表され、物価が上向き、個人支出が伸びていることが確認されればまた利上げムードが再来して、円安パワーによる日本株押し上げが期待できる。逆にこの指標が予想を下回るようなことがあれば、日経平均の売りポジションを増やして、保有株のヘッジをオススメしたい。
外国人は、例年8月に入ると夏休みに入ってしまい、市場のパワーが落ち、相場は弱含みとなるのが常だ。8月の日経平均株価は、本稿35回に記したように2000年から2016年までの17年間で▲2.05%だということも付記しておく。
最後にいつもの備忘録を。なんらかのショックが起こり、株価が動揺をみせたとき、日経平均の下値に関しては、PER14倍を下回ることはマレであることを踏まえ19,544円(現在eps1396円)を意識しておきたい。これを下回るほどの急落は、買いで入れば報われそう。フェアバリューであるPER14.9倍で考えれば、日経平均は20800円が妥当だということも付け加えたい。
いまは上下どちらかに動くのか見通すことが困難なため、勝負する時ではないと考えている。