JR中央線「阿佐ヶ谷駅」の高架下にある「阿佐ヶ谷ゴールド街」(冒頭写真はその入り口)の商店主はいま、JR東日本の100%子会社でデベロッパーの「ジェイアール東日本都市開発」(東京都渋谷区)による執拗な追い出し攻勢にあっており、すでに崩壊の危機にある。
同商店街はJR中央線の中野・荻窪駅間の高架化に伴って1967年5月にオープン。
最盛期には40店舗近くあり、オープンと同時に営業していた「日本最初の喫茶店」などのケースも少なくなく、長年地域社会に親しまれ、また貢献して来た。だが、いまや2階はすべて立ち退き、1階の婦人服店(下左写真)、靴屋さん(同右写真)やワイン店など5店舗だけを残すになっている。
こうした地上げの場合、まったくの民間のケースでさえ、旧入居者が希望すれば、建設中は“補償金”を払って仮設場所に移動してもらい、新しいビルが建ったら優先的かつ優遇価格で入居してもらうというのが一般的だろう。
ところが、ジェイーアール東日本都市開発は公益性が高く、また自ら「地域と一体となった活気ある街づくり」を基本方針とするとしながら、この一般的な条件さえ商店主に提示しなかったことなどから、大半の商店主は「JR東日本相手では……」と諦め出ていったものの、残った商店主とはトラブルになり、一部は訴訟にもなっている。
JR東日本側の高飛車としか思えない態度に起因するトラブル要素は多数あるが、立ち退き要求の経緯もその1つ。
JR東日本側が立ち退きを言い出したのは08年8月のことだ。だが、そのわずか半年ほど前の08年3月まで2年近く高架橋耐震補強工事が行われ、商店主側によれば、その後、「当面改築工事などの予定はない」(その旨のテープ録音あり)と告げられていたという。