ある日、自分の預金通帳のカネを引き出しに行ったら、それができない。驚いて、行員に問い合わせたら、「内容証明郵便が届きまして、真の預金者は自分だという方が現れたからです」と言われて納得できるだろうか。
納得どころか、内容証明郵便一つで、預金を凍結されるなど、どう考えてあり得ない。
「預金者が亡くなって、正当な相続人が預金を下そうとしても、様々な手続きを経なければ不可能。下ろせるまでにはそれなりの日数がかかる。当然ながら、預金者の権利が最優先です。それが内容証明1通で凍結されるなど、あり得ないことです」(元銀行マン)
こんなことが罷り通るなら、誰でもこの手口で預金者を困らせることができる。
野村證券吉祥寺支店(東京都吉祥寺市)の同じ預金者の口座も、同様の内容証明の通知により一時、凍結された。だが、さすがにこんなことが罷り通るわけがなく、現在は預金者側の主張を聞き入れ、凍結は解除されている。
現実にこんなことが起きていた銀行とは、みずほ銀行石神井支店(東京都練馬区)。
昨年9月から、いまも凍結されており、この口座には毎月の給料を振り込まれていたため、預金者は日々の生活にも事欠く有様なのだ。
なぜ、こんなことが起こり得たのか。
(冒頭左写真=問題の口座の預金通帳。右写真=みずほ銀行本店)