■プロフィール 投資歴17年、出版社勤務の兼業投資家。資産は2015年に一時1億円越えとなるも現在は横ばい近辺で推移。投資に必要なのは1に「メンタル」、2に「需給」、3に「ファンダ」だと考えており、勝ってもおごることなくたえず反省を繰り返し、安定して資産を増やす投資を心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
週末金曜日の日経平均株価の終値は、19,952円で引け、先週末比8円の小幅下落となった。ところが同日夜にアメリカの雇用統計が発表されると、これが好感され、翌日の日経平均CFDは20,048円と、しっかり高く戻ってきている。NYダウは9連騰で史上最高値奪取の67ドルの上昇だ。筆者は、「雇用統計に関しては、これまで出てきた以上のサプライズはない。平均時給も突然伸びることはありえないだろう。ならばNYダウは高値圏なので下落する可能性のほうが高いはず!」と、日経ダブルインバース(1357)をかなり大量に買い込んで(※日経平均の動きの2倍の動きをします)しまったから被弾した形だ。――ただ、ここからの日経平均の上値はそれほどあるとも思えず、そう悲観してもいない。しかし、NYダウにここまでの値動きをみせつけられると、日本人ではなくアメリカ人に生まれていればそろそろアーリーリタイアできてたかな…、なんて夢想せずにはいられない。そんな甘くないだろうが…。
さて、今週の日経平均の見通しに移りたい。週初こそ、雇用統計を受けた株高になると思われるが、安倍総理が週末の番組で「デフレ脱却できれば予定通り、2019年10月に消費増税する」と発言したのは株価にマイナスだろう。この発言に関する安倍総理の真意はわからないが(内閣改造絡みでの所信表明?)、黒田日銀総裁はインフレ率2%上昇の達成時期を「19年ごろ」とつい先日1年先延ばしにしている現状で、何の意味があるというのか? 賃金の上昇の道筋がしっかりみえてきた段階での発言ならば理解できるのだが…。
また、今週はマイナーSQ(10日)週である。SQ週は波乱になりやすく、今週の月曜後場、火曜などは警戒したいところだ。
日経新聞の報道によると、8月4日時点、2017年4-6月期の1Q決算が終わった企業の7割が純増益となっており、前年同期比では43%の増益だという。2018年3月期本決算企業の純利益見通しは前年比9%増の見通しとなっている。この数字は、直近までの見通しをまた上回ってきているが、1Qの数字に関しては、これぐらいの上振れ観測では、市場全体を盛り上げるには至らないだろう。1年はまだ始まったばかりで、この1Q期間に関しては業績よりも未来を照らす「政策」のほうが、株価には効く。
ただ、その経済政策を担う、米国議会は8月いっぱい休会となっており、トランプ大統領は2週間の休暇に入ったのでそれも望み薄。あとは内閣改造を終えた、第3次安倍第3次改造内閣からなにか日本独自の経済浮揚案でもでればサプライズだが、いまのところその兆しはない。
よって今週、注目すべきは、日経平均の大型株ではなく、新興市場のマザーズ銘柄となる。テクニカルの項に後述するが、8月1週目の売買代金は4454億円と先週比1257億円の大幅減少で、1日あたりの売買代金は891億円と、ほんとにうっす~い商いとなってしまっている。ここまで売買代金が落ちたことも少なく、逆に海外勢の売り圧力もなくなってしまっている状況だ。こうなってしまえば、あとは売買代金が盛り上がり始める「初動」をとらえてうまくインしたいもの。ただ、新興市場の決算は今週に出るところが多く、まだ慎重な立ち回りが必要だろう。今週もう1回暴落して、マザーズ指数1000ポイントがみえてくるころが仕込み時となるとみている。注目銘柄に関しては、まとまりしだい出していく所存だ。
今週は甲子園の開幕となっており、夏休み相場真っただ中に入る。例年この期間は薄商いであるし、トランプ大統領も休暇中だということなら、お休みモードで英気を養うのもよいかと思う。個人的には8月いっぱいは、日経ダブルインバース(1357)をもちっぱなしで、手堅く臨む予定だ。