アクセスジャーナル記者 山岡俊介の取材メモ

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<連載>元プロが暴露ーー横行する「ぼったくり居酒屋」にご注意。その闇の経営実態(第3回)

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【違法インカムで店長が逮捕に】
2015年11月30日午後6時20分ごろ、東京都豊島区南池袋に所在するBグループ傘下の居酒屋で、客引きとの連絡用に違法に無線局を開設したとして同店店長の盛田龍皇(29)が電波法違反(無線局無許可開設)容疑で逮捕された。
この店長は、どのようなことをしてこの電波法という馴染みの薄い法律により逮捕されたのか。
居酒屋の店内と外にいる客引き連中の連絡手段としてインカムを使っていたためだった。インカムなんて、どこの店でも使用しているし逮捕なんかされないだろうと感じるかもしれないが、同店で使用していたインカムは中国製で、ビルが密集している都会においても何百メートルも電波が飛ぶような高出力のものであった。
 このようなインカムを使った理由は、まず日本製のインカムと比べて安いからだ。次に、高出力のためお客さんを集めてくる客引きが遠方にいても店内の状況を連絡したり、早く客を連れてくるように指示をしたりすることが可能だったからだ。
安くて性能が良い、でも法律には引っかかってしまうインカムなのだが、経営サイドはこの中国製インカムが違法であることを知らなかったのかというと皆、認識していた。だが、経費が安く済み、遠方にいる客引きとも連絡が取れる便利なインカムを使わないのはおかしいというBグループ経営トップの方針の結果だった。
何しろ、インカムの台数が足りなくなると、経営トップ自ら違法インカムを手配するように指示をしていたのである。もちろん他の幹部もこれらの中国製インカムが違法であると認識した上で、経営トップの意向に沿わなければ経営者トップから暴力的なことをされるとの思いで手配していたのである。
 前述したとおり、違法インカムを使用したということで店長の盛田が逮捕され、Bグループの本社事務所にもガサが入った。Bグループは、立ち上げ当初から様々な取締りを受けていることから警察対策のスキルは十分に持っていた。時には弁護士や警察OBなどの助言を受けて警察の捜査より先回りして突き上げ捜査等をされないように妨害行為を繰り広げた。この事件の時もそうだが、盛田が逮捕されたと同時に警察対策の担当者が全店舗から違法インカムを回収し隠匿したり、事務所にあるインカムの備品管理簿や盛田の雇用契約書、あるいは様々なデータが入ったパソコンなどを車に積み込み隠し、警察がガサに入っても空振りとなるような状況であった。
警察としては、電波法という珍しい事件で検挙することができ、話題ともなって鼻高々なのかもしれないが、実はぼったくり居酒屋でトカゲの尻尾切りをしただけの話なのだ。
【客引きの巧妙な詐欺的手口】

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