本紙で以前も紹介したこの映画の試写を昨日、観てきた。
途中から泣けて来て、どうしようもなかった。
その分析は後述するとして、そのタイトルからも察せられるように、ポチ=権力者には従順で、それでいて否、だからこそ裏ガネ作りなどに平気で手を染める警察組織の腐敗を、組織犯罪対策課の主人公刑事タケハチ(菅田俊)を通して描いた社会派エンターテイメント映画。
拳銃の押収実績を上げるため、押収したシャブを売ってカネを作り、それで拳銃を買って見せかけの実績を上げて行く警察犯罪を描いたこの映画の根幹ストーリーは、フリージャーナリストの寺澤有氏(ウィキペディアの評価が辛口なのは、それだけ警察批判が徹底している裏返しだろう)が取材で知り得た実話が元になっている。
その他にも、交番勤務の先輩警官がバレないとして“住民名簿”を見せながら気に入った女性への強姦を新人に勧めたり、昔の不良仲間を警察権力を背景にボコボコにしたり、シャブ中毒になった警官、違法なオトリ捜査、暴力団との提携、それでいて筋を通さないためマフィアの怒りを買いオトリ警官が殺されるなど、これでもかと具体例が出て来る。
こうした面は、汚職を拒否したため、警察仲間のワナにかかり殺されそうになった主人公警官(アル・パチーノ)の告発を取り上げた米映画『セルピコ』(1973年。上写真)を彷彿させる。
だが、これまでわが国ではこの手の作品がなかったことが、映画の公開年数の差同様、30年以上遅れていることを物語っている。