本書の発売は08年6月。新刊でないのに、ここに紹介するのは、小沢一郎民主党幹事長の発言との絡みからだ。
昨年11月、小沢氏が高野山(和歌山県)を訪ね、そのトップである松長有慶・高野山真言宗大僧正と会談後の記者会見で、キリスト教に関し、「排他的で独善的な宗教だ。キリスト教を背景とした欧米社会は行き詰まっている」といった宗教観を披露。この発言、政権与党の最大実力者だけに物議を醸したのをご記憶だろう。(冒頭写真=「MSN産経ニュース」09年11月10日記事より)
しかし、その宗教価値、そんなに見当違いのものなのだろうか。
その点でたいへん参考になるのが本書なのだ。というのは、本書はまさにキリスト教、イスラム教、仏教という世界3大宗教の本質について、心理療法家の河合隼雄氏(故人)と、仏教徒で宗教学者の中沢新一氏というその分野の両第一人者が対談したものだからだ。