■プロフィール 投資歴18年、出版社勤務の兼業投資家。投資に必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」、3に「ファンダ」だと考えており、勝ってもおごることなくたえず反省を繰り返し、安定して資産を増やす投資を心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
先週末の日経平均株価の終値は21,680円と、先週末比で-570円と大幅に下落した。先週も、米中貿易摩擦を始め、サウジの皇太子の記者殺害疑惑、ブレグジット、イタリアの放漫予算案など、悪材料ばかりがはびこる悪地合いが継続した。ただ、土曜の朝に日経平均先物を確認すると21,760円と少し高く戻ってきている。これは今週の日本株に、見た目(数字)以上に希望を与えてくれるこものになると強く感じている。
さっそく先週の日経平均株価の推移を振り返りたい。週間では大きめの下落となったものの、13日(月)NY時間に、アップルのiphone販売減速報道がでてNYダウが、-602ドルの暴落となった翌日(火)に-459円と暴落して以降は、「やけに下げ渋りをみせ、強いな」というのが率直な感想である。そもそも13日(火)は、大きな下ヒゲ(※21,485円)を伴っており、そこまで厭世的な雰囲気はなかったと思う。
そして筆者は、先週金曜日16日の「NYダウ」の株価推移に大きな注目をしていた。これには2つ理由があり、(1)米国をはじめ欧州市場がSQであること(2)米国で、画像半導体最大手「エヌビディア」と、半導体製造装置最大手「アプライドマテリアル」の決算があり、共に時間外で大暴落していたこと、があった。
結果は、エヌビディアは-18.76%と時間外取引の評価通りの大暴落になったものの、アプライドマテリアルは、+1.09%と切り返して引け、ナスダック市場は-0.15%の下落、NYダウに関しては、+0.49%の上昇と力強く引けた。そしてこの間、VIX指数はみるみる下落を続け、18.14%と平時ラインに完全に戻ったことは大きいだろう。これは、両市場ともに、SQ値を上回って安定した推移となり、堅調に引けたことが作用しており、大きな価値があると感じている。またエヌビディアに関しては、ナスダックで時価総額ベスト10に入るメジャー銘柄にもかかわらず、その他の銘柄に連れ安ムードがまったくでなかったことは、称賛に値する(※サウジ関連銘柄であるため、反発できなかった可能性があり)。この流れは週明けの日本市場に大きなプラス効果をもたらすものと考えている。
さて、今週のストラテジーへと移りたい。今週は、先週金曜日の米国市場の強い流れを引き継いだ好地合いとなる可能性がある。以下にその根拠を記すと、(1)先週金曜日に米国の利上げ打ち止め観測が出たにもかかわらず米国10年国債が買われ、株式市場が堅調だったという本稿106回とは逆の現象が起こった。これはリスクオンとなる条件である。また(2)今週は【今週の注目イベント】の項に記したように大きなイベントがない。21日(水)は、イタリアの2019年度予算において欧州連合が意見表明をするようだが、「このまま考えを改めないなら制裁を課すぞ」と脅しにかかることは市場に完全に折り込まれている。
よって今週は、13日(金)の日経平均株価の下値21,485円や、直近の日経平均先物の安値21,470円に接近する「21,500円ライン」を割り込まなければ、強気で相場に臨んでもよい、と考えている。現在の日経平均先物は21,760円なので、下値もたかが知れており、損切もしやすく買いやすい局面だ。「日経平均PER」も12.21倍と、ここ6年来の最下限ラインであることも大きい。
ただ、国内では、「ソフトバンク」のIPOに伴う売り出しが、2兆1407億円もの超大型規模であることから、12月3日(月)のブックビルディング(BB)期間まで、換金売りが出る可能性は大きくある。そこで、注目するのは、小型株やマザーズ銘柄だろう。特にマザーズ銘柄は、以下の↓【テクニカルの項】で後述するが、海外勢の大きな買い越しが入ったもようだ。