■プロフィール 投資歴18年、出版社勤務の兼業投資家。投資に必要なのは、1に「メンタル」、2に「需給」、3に「ファンダ」だと考えており、勝ってもおごることなくたえず反省を繰り返し、安定して資産を増やす投資を心がけている。
≪先週の相場振り返りと今週の見通し≫
先週末の日経平均株価の終値は22,244円となり、先週比+1059円の大暴騰となった。前週は▲1347円安と、深みに沈んだことを考えると、ボラティリティが異常に高くなっており、これは一気の反転ムードではなく市場の混乱が収まっていないことを示唆している。現在は、10月2日の終値24,271円の年初来高値から、29日の終値21,150円の年初来安値まで、3121円安くなった分の3分の1程度が戻ったことになる。すべては―――この10月に起こった出来事だ。
さて、まずは先週の振り返りをさせていただく。
29日(月)のNYダウは、トランプ大統領の「11月末の米中首脳会談で貿易摩擦解消に向け進展がなければ、12月初旬までに中国製品に新たな追加関税を発動する用意がある」との報道で大暴落となった。日経平均先物も火曜日の深夜には、またもや21,000円を割り込み、一気に20,800円をつけ、結果的にはこれで2番底完成となり、その後の景気敏感株の決算が、ここまで売り込まれるほど悲惨なものではなかったため一気に買い戻しムードが蔓延した。そして金曜日の後場。またしてもトランプ大統領発で「11月30日のG20首脳会議で、中国の習近平国家主席と首脳会談を行う見通し。中国と貿易摩擦終結を目指すべく草案作成をスタッフに命じた」と報道がでるや大爆騰。
しかしその夜のNYダウは、10月雇用統計で良好な数字が確認されると、FRBによる12月利上げ待ったなし!の雰囲気になったにもかかわらず、国債は売られ、米国10年債利回りが一気の上昇となってNYダウは下げ足を強める、最低な雰囲気で引けた。
さっそく今週のストラテジーへと移りたい。
先週金曜日の雇用統計後に起こった米国市場のダダ下がりは看過できるものではない。通常は、国債が買われれば株式が下がり、国債が売られれば株式は上がるという相関関係が道理である。それにもかかわらず、国債が売られ10年国債金利が上がった結果、株もダダ下がりという流れは、どうみても極めてよくない兆候であると断言できる。
また、市場関係者の誰もが、中間選挙に予断を持つことができない状況である。ブレグジットや、米国大統領選挙(トランプ政権誕生)を経て、世論調査はまるで信用できないというのがコンセンサスとなっており、6日(火)の中間選挙まで(※日本時間7日開票)は、少なく買い意欲は著しく減退するだろう。先週は、かなり一気のリバウンド局面を迎えていたことも、こうなっては株価に逆風となるとみたい。
テクニカルチャート的にも、NYダウやS&P指数は、25日線ではっきり叩き落された形となっている。これは半導体SOX指数や、ハイイールド債も似たような形だった。(横写真=NYダウ平均の週足チャート)
その他、米中貿易戦争に関してトランプ大統領の発言は、もはや信頼に値しない。クドロー米国経済会議委員長やライトハイザー通商代表部(USTR)代表は、変わらず中国に対して強硬姿勢を貫くスタンスだと表明している。加えて、底打ち1ヵ月後に安値を更新する展開がこれまでにあまりに多く起こっている。今年2月初旬の暴落も、あれだけの暴落であったにもかかわらず下げ続け、底入れとなったのは3月下旬であったことは忘れないでおきたい。
よって、今週は米国中間選挙の結果がでる7日(水)までは、資産ヘッジポジションは必須も必須だと考えている。そして7日の後場に選挙結果が明るみになってから、相場の反発力を確認して、買いに入るべきだろう。そもそも、ここからは2日現在位置する、200日線(22,416円)が強烈に意識されてくる。また、ここから22500円までの100円幅は、今年に入って価格帯別累積出来高の集中ゾーンであり、その上には25日&75日移動平均線も密集する需給上の関門。ここまで下げてしまったのも、それなりの理由(貿易戦争が世界の景気後退を招いている)があるわけで、このラインをそう簡単に突破できるとは思えない。
最後に日米の決算発表が進み、業績面が分かってきたので記したい。
日本企業に関しては、11月2日時点までの決算で、上方修正は143社、下方修正はなんと157社。EPSはテクニカルの項に記しているがちょいプラス。この理由は、やっぱり米中貿易戦争懸念だった。この問題が世界景気の不透明さを呼び、企業経営者が保守的に先行きを見ざるをえない理由となっている。実際、上期の通期決算にたいする進捗率がよくても、上方修正がでないパターンがやけに多い。
※今週は以下に2銘柄注目銘柄あり